CMでもおなじみの、昔からある伝統的な医薬品。読者の皆さまも、1つや2つは思い出されるのではないでしょうか。でも、「名前を知っている」のと、「効能を知っている」のとはまったく別物。

今回は名前だけは知っているけど、効能を知らない方の多い、そんな伝統薬をご紹介します。

 

「キンカン」の効能は虫さされだけじゃなかった!

「♪虫さされに、キンカン」のCMは多くの人がご存じのはず。あのアンモニアの香り、肌から蒸発するときの清涼感、キンカンという名を聞いただけで、思い出されるのではないでしょうか。虫さされ用外用薬としての認知を確固たるものにしている、キンカン。その瓶をよーく見ると、「かゆみ、肩こりに効く」「虫さされ、肩こりに」と書いてあるのです。

発売元の金冠堂公式サイトでも「すばやく患部の熱を奪い去り、皮ふの知覚マヒや血行促進等により、鎮痛・鎮痒・消炎作用を示し、虫さされ、かゆみ、肩こり、腰痛、打撲、捻挫に対して優れた効果を発揮します」とあり、その効能は間違いなさそう。

より詳しい商品説明によれば、「トウガラシチンキ」「d-メントール」による血行促進作用やその他の有効成分による消炎・鎮痛効果で、肩こりや打撲の痛みや炎症を鎮めるとのこと。

キンカンが誕生したのは1926(大正15)年、つまり87年前。発売当初は火傷の治療薬として販売され、開発者自身による「煮えたぎった湯を自分の腕にふり注ぎ、キンカンを塗布して見せる」という実演販売を行っていたのだとか。戦後では、火傷以外に、神経痛などにも効く万能治療薬として販売されていた時代もあり、現在の「虫さされ」「かゆみ」に効く、というイメージが確立したのは、昭和30年代だったそうです。実は、虫さされ「にも」効く薬だったんですね。