(左から)熊切和嘉監、小林薫、満島ひかり、綾野剛

瀬戸内寂聴のベストセラー小説を映画化する『夏の終り』の完成披露試写会が14日に都内で行われ、満島ひかり、綾野剛、小林薫、熊切和嘉監督が浴衣で登壇した。

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本作は、瀬戸内寂聴が出家前に執筆した小説を『海炭市叙景』の熊切監督が映画化したセンセーショナルな愛の物語。妻子ある年上の作家と、年下の男性との三角関係に悩む主人公・知子の苦悩が描かれる。

劇中で満島演じる主人公・知子が、型染め染色で生計を立てていることにちなみ、世界でたった一つのオリジナルの浴衣を披露した4人。満島は「私は出演が決まる前に脚本を読んでいて、(その時は)自分とは関係のない大人の話だと思って読んでいました。熊切監督と初めてお会いした際に、素敵な方だな、一緒に映画を撮りたいなという思いだけで見切り発車しました」と明かし、「女性ならではの生き辛さが多少映っているのではないかと思います。現場でももがいていました。監督も撮影部も照明部も美術も、みんな、みんな迷いながらも良いものをつくろうとしていました」と語った。

知子に恋人がいると知りながらも知子を愛する年下の男性、涼太を演じた綾野は「あまり憶えていないです。悪い意味じゃなくて、すごい現場だった。『ぐちゃー』っていう状態で芝居をしていました。熊切監督が素敵なややこしい人ということもあり、『ぐちゃー』という感じしか残っていないです」と独特の表現で撮影を振り返った。また、妻子がありながらも知子とも関係を持つ年上の男性、慎吾を演じた小林は「冥利に尽きるんじゃないでしょうか。妻がいながら知子という人もいて、ちょっと男の憧れみたいなところがあるんじゃないでしょうか。そのへんは楽しんでやりました」と話した。

熊切監督は「なぜいま『夏の終り』を映画化しようと思ったのか?」という質問に対し「パンチのあるヒロインを撮りたいと思っていました。自分ももうすぐ40代。そろそろ大人の抑制のきく作品を、と思っていました」と答えた。

『夏の終り』
8月31日(土)有楽町スバル座ほか全国ロードショー