シルク・ドゥ・ソレイユ『ダイハツ キュリオス』より。ロシアン・クレードル シルク・ドゥ・ソレイユ『ダイハツ キュリオス』より。ロシアン・クレードル

すでに世界で280万人以上の観客を熱狂させているシルク・ドゥ・ソレイユ創設30周年記念作『ダイハツ キュリオス』の東京公演が、2月7日、お台場ビッグトップにて開幕。創立以来、世界6大陸450都市以上で1億8千万人超の観衆を魅了してきたエンターテインメント集団が、ふたたび日本を席巻する。

『ダイハツ キュリオス』チケット情報

産業革命の時代と未来を融合させたようなファンタジーな美術セットとキャラクターたちは、どれもが懐かしさを漂わせるレトロフューチャーな世界。ヴァイオリンやベース、キーボード、バンジョーなどによる生演奏と、歌い手の魅惑的な歌声。アルゼンチン・タンゴ風の軽快な音色に乗って、人間の能力の限界を追求した驚きのパフォーマンスが繰り広げられていった。

オルガンや蓄音機、真空管などを繋いでアンティークな家具で作られたへんてこりんな装置。数字の“1”が4つ並ぶ“11:11”のラッキータイムを合図にスイッチが入ると、誰も見たことのない世界がステージに広がっていった。蒸気機関車から降りてくる曲芸師やダンサーら摩訶不思議なパフォーマーたちがステージに溢れかえり、盛大にショーの始まりを告げる。

地上4メートルの高所で繰り広げられる人間ブランコや、宙吊りになった自転車で逆さになったり高速回転したり、超人的な演目に大歓声が沸き起こる。ステージ全体を覆うほど巨大なトランポリンを使った「アクロネット」は、天井ギリギリまで飛び上がるたびに拍手喝采。複数名が人間ピラミッドやアクロバットをおこなう「バンキン」は、鬼気迫る生演奏もあって、手に汗握るハラハラドキドキの大技が連なった。

驚異のパフォーマンスばかりが見所ではなく、斬新なアイデアが活かされた演目に思わず笑みがこぼれる。次々と登場する透明人間と透明猛獣による“見えない”パフォーマンスの数々や、イスをいくつも積み上げてバランスをとる「バランシング・オン・チェア」は、積み上げた先に予想外の世界が広がる。特に、指だけで表現する新しい演目「シアター・オブ・ハンズ」では、これまでとはまた違った世界観を見せてくれた。パフォーマンスはステージ中央に浮かぶ大きな気球に映し出され、生きているように踊る指に釘付けになる。幻想的なテルミンの音色で紡がれるストーリーは、最後にはほっこりと温かい気持ちにさせてくれた。全体を通して音楽と深く融合した演目ばかりで、演奏者や歌い手からも目が離せない。小気味いい演奏に思わずじっとしてはいられなくなるはずだ。

『ダイハツ キュリオス』東京公演は、7月8日(日)まで上演。チケット発売中。その後、大阪、名古屋、福岡、仙台を回る。

取材・文:門 宏

※都合により公演の内容を一部変更する場合がございます。