松田龍平が、住人たちの人間関係を“冒す”キケンな訪問者に

2013.8.19 15:55配信
松田龍平(スタイリスト/纐纈春樹、ヘアメイク/中村兼也(BERONICA))、長塚圭史(ヘアメイク/大宝みゆき)、田中哲司(ヘアメイク/大宝みゆき)  撮影:中川有紀子 松田龍平(スタイリスト/纐纈春樹、ヘアメイク/中村兼也(BERONICA))、長塚圭史(ヘアメイク/大宝みゆき)、田中哲司(ヘアメイク/大宝みゆき)  撮影:中川有紀子

長塚圭史(阿佐ヶ谷スパイダース)が携わるもうひとつのユニット・葛河思潮社が第3回公演『冒した者』を上演する。大屋敷に集まった9人の人間それぞれの“戦後の混乱”を描くこの作品は、昭和期の劇作家・三好十郎最後の長編戯曲。演出を手掛ける長塚圭史、「私」役の田中哲司、須永役の松田龍平に話を聞いた。

舞台『冒した者』チケット情報

葛河思潮社では第1回、2回公演と続けて『浮標』を上演しており、三好作品への挑戦は3度目となる。「三好さんは実存主義の作家と言われているけど、立ち向かっている命題は「生とは? 死とは?」という、まったく答えの出しづらいようなことを追いかけている。そういう命題に最も具体的、直接的に向き合っているのがこの話で、戦後数年の人々の生活と思想の生々しさとシュルレアリスムの混沌は思いがけず面白い」と、同じ劇作家としての感覚も踏まえて話す長塚。

「“葛河”は極めて個人的な嗜好で構成したい」(長塚)との言葉どおり、彼のカラーに合う充実のキャスティングが実現。前作『浮標』で久我五郎役を演じた田中は、今回も作者・三好の投影であろう人物「私」を演じる。「圭史くんからは最初『浮標』の続きみたいな感じだよって台本渡されたんです。僕も最初はそう思ってたんですけど読むにつれ違いが出てきて、より三好さん寄りの人物になっていると感じました。職業も前回は絵描きだったけど今回は劇作家になってて、『ストレートになってきたな』と(笑)」(田中)。

松田演じる須永は大屋敷への訪問者で、住人たちの人間模様をかき乱す男。ドラマ撮影のために遅れた松田の代役を稽古場で務めたという長塚は、「(須永役は)どうにも大変。僕は全然上手くいかなかった」と苦笑い。「でも龍平が読むとやっぱりいい。体や精神の部分で役とシンクロしてるところが随所にあるんだなと思う」。松田は、「本読みをしていると『本当に大変な作品だなあ』と。でも実際に動きながらやっているのを見ると全く別のものとして楽しめたんです。そういう気持ちはたぶん自分がやったときにも起きるだろうなと思うと、今からワクワクしますね」と語る。また舞台は4年ぶりだが、「これが終わったらもうしばらくは…(笑)」と、冗談とも本気ともとれぬモードで続ける。「ピタッと合致するところにあえて向かっていくんじゃなくて、いろいろ試してみて、わざと外していくうちに自分も気づかない瞬間に合致することが面白い。長塚さんのそういう演出の感じがすごく好きだなと思いますね。」(松田)。

1952年に書かれた本作が投げかける問題は、現代に生きる私たちにも驚くほど響く。長塚がどう料理し、提示してくるのか楽しみだ。

公演は9月5日(木)から10日(火)までKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ、9月20日(金)から10月7日(月)まで東京・吉祥寺シアターにて。他に、長野、宮城でも上演。宮城公演のチケット一般発売は8月31日(土)より。また、神奈川公演で9月9日(月)午後2時の回が追加決定。追加公演のチケット発売中。

取材・文 武田吏都

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