お受験というと、まだ小さい子どもに詰め込み式に勉強させたり、習い事に通わせたりといったイメージを持つ人がいると思います。また、うちの子にはとても無理、と別世界の出来事のように思っている人もいると思います。

高い倍率を勝ち抜くにはそれなりの理由があるに違いありません。

ですが、生まれてまだ5、6年しかたっていない子ども同士で、そんなに差がつくのはどこからなのでしょうか。

ヒントは家庭での過ごし方にありそうです。

名門小学校受験のパイオニアである伸芽会から出版された黒田善輝さんの著書『慶應合格指南書』を、一緒にひも解いてみることにしましょう。

遊びがベース

黒田善輝さんは、お受験に大切なことは「遊び」だと言います。

遊びを通じて、人と関わりあって思いやりや想像力を育んだり、先を読んで困難に立ち向かう力をつけたりして、成長するもの。

また、体を使った遊びを通して、体力もつくでしょう。

たとえば、慶應幼稚舎、横浜初等部の入試内容は、集団テスト(絵画・制作、行動観察)と運動テストです。

どれも遊びから発展させた内容であることに気がつくでしょうか。

合格するのに必要な要素は5つ

伸芽会が、小学校に上がる前の子どもが身につけるべき力として大切にしていることが、5つあるといいます。
どれも、社会性や人間力の基礎となるものです。

ひとつずつ、みていってみましょう。

1: 見る力

「見る力」と次の「聞く力」は、子どもが最初に獲得する学習能力だそうです。それは、一番身近な親の言動を見聞きすることで磨かれます。

さらに、ただ見聞きするのではなく、物事の本質をとらえる力が求められます。

2: 聞く力

試験の出題はすべて音声で行われます。つまり、それだけ子どもの聞く力が重要ということですね。

人の話を聞くことのできる子どもになるためには、話す人と子どもとの信頼関係があって初めて、子どもがその人の話を聞こうと思うのだそうです。

3: 話す力

まだ言葉がたどたどしくても、子どもがなにかを自分から言おうとしていたら、その機会を奪ってはいけません。

子どもの「話す力」を育てるのは、親が笑顔で聞いてあげることだったり、ヒントになるような言葉だったりします。

4: 考える力

子どもは時に「なぜ・どうして攻撃」で大人を悩ませます。そんな時こそ、考える力を伸ばすチャンスです。

はぐらかすのでもなく、きちんと論理的に答えるのでもなく、一緒に考えを促すような言葉が有効です。

伸芽会では、子どもが主体になり、考えを発展できるようなさまざまな遊びを指導に取り入れているそうです。

5: 行う力

1から4の総合ともいえる力で、挨拶や返事も含まれます。

入試では、「物事のつながりが見えていて、その場にふさわしい行動ができるかどうか」を見られているそうです。