『人類資金』の完成報告会見

『亡国のイージス』の福井晴敏氏と阪本順治監督が再タッグを組んだサスペンス超大作『人類資金』の完成報告会見が27日に都内で行われ、両人に加えて、主演の佐藤浩市、森山未來、仲代達矢が出席。福井氏は「成立させるのが非常に難しい作品だった。『半沢直樹』が1年早ければ、企画も通りやすかったかもしれない」と語り、「(『半沢直樹』の原作者である)池井戸潤氏とは一緒に江戸川乱歩賞を受賞した同期ですし、経済ものにいい風が吹いているなか、この映画で“倍返し”できれば」と本作のヒットに期待を寄せた。

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第二次世界大戦中に、日本軍がアジア全域から集め隠匿したとされる“M資金”を巡る国際的なマネーゲームをスリリングに描く。阪本監督にとって、「M資金に興味を持ったのは、33年前」というほどの念願の企画で、「人類があっても、資金が無くて(笑)。長い時間がかかったが、このタイミングで良かった。自分たちでなければ、作れなかったと自負している」と誇らしげ。「物語を完結させるのは、観ていただくお客様。自分としては、どこか希望の灯が感じられる結末にしたつもり」と自信を示した。

M資金詐欺を繰り返す男・真舟雄一(佐藤)が、“M”と名乗る謎の男とその腹心・石優樹(森山)から「M資金10兆円を一緒に盗み出して欲しい。報酬は50億円」と話を持ちかけられ、世界を股にかける巨大な陰謀に巻き込まれる。佐藤は「都市伝説化しようとしているM資金を題材に、エンターテインメントとしてお客さんにボールを投げられれば」と戦後のタブーに切り込む本作に強い期待感。日本映画として初めて行われたニューヨーク・国連ロケに参加した森山は「自分のつたないメッセージで、どこまでメッセージが伝えられたか…。それでも映画を観る方に、違う景色が見えるきっかけになれば」と話した。

また、物語の鍵を握る企業トップを重厚感たっぷりに演じる仲代は「亡くなった三國さんとは、政治腐敗をたたく社会派映画でよくご一緒にした」と、故三國連太郎さんの息子である佐藤との会見に感慨しきり。本作に「娯楽性もある社会派の作品だと思う」とお墨付きを与えていた。

『人類資金』
10月19日(土)公開