『マン・オブ・スティール』を手がけたザック・スナイダー監督

アメリカの人気ヒーロー“スーパーマン”を新生させた映画『マン・オブ・スティール』が間もなく日本で公開される。本作は壮大なスケールで描かれるアクション大作だが、監督を務めたザック・スナイダーは「この映画が描いているのは人間ドラマだ」と主張する。熾烈な格闘シーンでさえも“キャラクター表現”だという監督の真意はどこにあるのだろうか?

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本作は、主人公クラーク・ケントが全人類の存亡をかけた危機に立ち向かい、“スーパーマン”と呼ばれるようになるまでを描いた作品だ。危機が訪れるとどこからか飛んできて、ピンチを救ってはひとりでどこかへ飛んでいってしまう。多くの観客は、そんな孤高のイメージをスーパーマンに抱いているのではないだろうか?しかし、スナイダー監督は「この映画は“家族”について考える映画だ。家族の強さや、どこかに“帰属”することが大きなテーマになっているんだ」と語る。

確かに本作に登場する主人公クラークは“絶対的な正義者”ではなく、これまでのシリーズで幾度となくピンチを救ってきたヒロイン、ロイス・レインに救われる場面すら登場する。「それは意識したことだよ。本作ではロイスを強く描いたんだ。スーパーマンが彼女を救うのと同じぐらい、ロイスもスーパーマンを救うんだ。時代が変われば“モラルのあり方”も変わる。だからスーパーマンの描き方もオリジナルと比較するととてもラジカルなものになったよ」。

もちろん劇中には豪快なアクション・シーンが次々に登場する。『300』や『エンジェル・ウォーズ』で全世界のファンを熱狂させてきたスナイダー監督だけに、圧倒的な力を持つ者たちが本気で激突するシーンは圧巻だ。しかし、監督はアクションも「ドラマであり、言うなれば“抽象的なキャラクター観察の時間”なんだ」と力説する。「アクションを通じて作品のトーンを感じてほしいし、キャラクターについて学んでほしいんだ。だからアクションもそれ自体が“ひとつの物語”になるように設計している。導入があり、山場があり、結末があるんだ。だからパッと見は単なるアクション・シーンでも、すべてのカットにおいてキャラクターがどのような状態で、どのような心情なのか僕はすべて説明できるよ」。

壮絶なアクションを交えた“キャラクター描写”と新たな物語を経て、『スーパーマン』はどのように新生するのか? 監督が「スーパーマンの神話を壊さずに、少しだけ“限界”を押し上げた」と語る『マン・オブ・スティール』がいよいよ日本でそのヴェールをぬぐ。

『マン・オブ・スティール』
8月30日(金) 新宿ピカデリーほかにてロードショー