三菱の本炭釜採用の「NJ-XW104J」(左)と備長炭 炭炊釜採用の「NJ-XS104J」

2006年の発売以来、進化を続けている三菱電機の炊飯器「本炭釜」シリーズ。2013年モデルの「NJ-XW104J」は、新たにお米の銘柄に合った極上の味に仕上げる「銘柄芳潤炊き」を搭載した。今回は、実際に銘柄別に炊き分けて食べ比べをした。

「本炭釜」シリーズは、釜自体が発熱して均一に加熱する純度99.9%の炭釜を採用した炊飯器。日本で初めて蒸気が外に出ない蒸気レス構造を採用したことでも話題になった。

「NJ-XW104J」は、本炭釜の加熱ムラが少なく、発熱性にすぐれる特性を生かした「連続沸騰」や、内釜と本体をぴったり密着させ、内部に熱を閉じ込めて断熱性を高める「熱密封かまど構造」を採用し、ごはんをさらにおいしく炊きあげる。

「銘柄芳潤炊き」は、お米の銘柄に合わせて極上の味に炊きあげることができる。登録している銘柄は、「コシヒカリ」「ササニシキ」「ミルキークイーン」「森のくまさん」など20銘柄で、日本の米の作付面積の8割を網羅している。

さっそく、我が家ではおなじみのミルキークイーン(千葉県産)、今回初めて購入した森のくまさん(熊本県産)、そして新潟魚沼市十日町のブランド米、コシヒカリで食べ比べをした。

●「ふつう」と「銘柄芳潤炊き」では明らかに違う味

最初にタンクに水を入れ、本体に取りつける。これは、大火力によって発生する水蒸気を吹きこぼさないようにする冷却水だ。あとはお米を洗い、水加減を調整する。はじめに「ふつうモード」、次に「銘柄芳潤炊き」で試した。

千葉県産のミルキークイーンを「ふつうモード」で2合炊いたところ、54分で炊きあがった。ミルキークイーンは軟らかめに炊きあがるので、いつもは少し水を減らしてから炊いているが、今回は内釜の水位目盛通り、水をきっちり量ってから炊いた。「ふつうモード」で炊きあがったミルキークイーンは、もち米のように粘りが強く、甘味も強い。照りも申しぶんない。ただし、やはり少々軟らかく感じる。もう少しコシがほしいところだ。

次は「銘柄芳潤炊き」だ。「銘柄芳潤」ボタンを押して、上下矢印ボタンで「ミルキークイーン」を選ぶ。あとは炊飯ボタンを押すだけと、設定はとても簡単だ。「銘柄芳潤炊き」では、炊飯時間91分と表示された。「ふつうモード」は54分なので、炊飯時間は37分長くなっている。

炊き上がったごはんは、「ふつうモード」で炊いたごはんよりもさらにふんわり炊けている。実際に食すると、少し足りないと感じていたコシがアップし、もちもち感が出た。

森のくまさんは初めて知った銘柄だが、熊本産のお米で、2012年の「食味ランキング」で1位になったこともあるという有名な銘柄だそうだ。「ふつうモード」で炊くと、もっちりと甘いものの、ミルキークイーンより少しさっぱりしていて、どんなおかずにも合いそうなクセがない印象だ。ミルキークイーンの後だからかもしれないが、少しパサついているような食感が気になる。

「銘柄芳潤炊き」の炊飯時間は、「ふつうモード」と同じ54分だった。炊飯器のフタを開けたときにわかったのは、ごはんのツヤ。「ふつうモード」で気になったパサつきがなく、ツヤツヤしている。とても食べやすく、おいしい。

最後に、魚沼市十日町産「コシヒカリ」を炊いた。ふつうモードの炊飯時間は54分。炊飯器のフタを開けたとたん、表面のツヤに驚いてしまった。ごはんも立っていて、ベタッとした感じはない。何より、一粒一粒が輝いている。実際に食べると、甘く、香りがよく、粘りもあり、弾力がありもちもちしている。感動するおいしさだ。おかずがなくても、ごはんだけで十分楽しめるほどだ。

これだけでも満足だが、次は「銘柄芳潤炊き」で炊いた。炊飯時間は「ふつうモード」より6分長い60分。結果は、さらにもちもち感がアップし、歯を押し返すような弾力に驚いた。「ふつうモード」でも十分おいしかったので、正直、あまり期待していなかったが、「銘柄芳潤炊き」のほうがコシヒカリがもつおいしさを引き出しているように思えた。あまりにもおいしかったので、ごはんだけでお茶碗一杯を平らげてしまった。

3銘柄を試して、やはり「銘柄芳潤炊き」は、それぞれの銘柄の特徴を捉え、よりそのおいしさを引き出した仕上がりになることがわかった。森のくまさんは「ふつうモード」と同じ時間だったが、ミルキークイーン、コシヒカリは「銘柄芳潤炊き」では少し待ち時間は長くなる。しかし、こだわりのお米は、ぜひ「銘柄芳潤炊き」を活用していただきたい。

●カレーに合わせた固めのしゃっきりしたごはんも絶品!

「NJ-XW104J」は、かため、やわらか、もちもち、しゃっきりなど、好みに応じて15モードから選べる「炊分け名人」機能を備えている。

ミルキークイーンやコシヒカリは、かなりもちもちしているために、ふつうに炊くとカレーには向かない。そこで、コシヒカリを「炊分け名人」でカレーに合うように炊いてみた。

使い方は、メニューボタンを押してから矢印ボタンで「炊分け名人」を選び、矢印ボタンでお好みの食感を選ぶだけ。「すし・カレーに向いています」と表示される「しゃっきり」「かため」を選んで炊いた。

「ふつうモード」では54分で炊けるごはんは、このモードでは44分と短めだ。甘味が強く、粘りも強いコシヒカリだが、こちらのモードで炊いたごはんは、しゃっきりしたごはんになった。やはりコシヒカリ特有の甘味があり、弾力もあるが、硬めのごはんになり、スープカレーによく合っている。料理に合わせて炊き分けることができるので、いろいろ試すのも楽しい。

●操作性、安全性の面でもおすすめ

小さな子どもがいる親にとって、どんなにごはんがおいしく炊けたとしても、安全性への配慮に欠けている製品は使えない。「NJ-XW104J」は蒸気レスなので置き場所を選ばないだけでなく、熱い蒸気にうっかり触ってしまうというリスクを大幅に抑制する。

炊飯中はボタンを押しても開かない「チャイルドロック」もうれしい。我が家にも小さな子どもがいるが、蒸気レスも含め、きちんと配慮されているので、安心して使える。

また、多機能の白物家電は操作が難しく、購入後に使いこなせないという声を聞くが、「NJ-XW104J」は液晶画面が明るく、文字も大きいので操作しやすい。音声ガイドもわかりやすく、細かい炊き分けについても直感的に操作できる。

「本炭釜」シリーズは、これまで何度かレビューしているが、これまでの本炭釜の炊き加減は「硬めでしゃっきりしたごはん」という印象だった。しかし「NJ-XW104J」は、細かく炊き分けることで、その銘柄に合った炊き加減のおいしいごはんが食べられるようになった。これなら家族で好みが違っても「今日はこのモードで食べてみよう」と気軽に変えることができる。特にお米にこだわりを持っている方に試していただきたい。「NJ-XW104J」は、毎日のごはんが待ち遠しくなるおすすめの炊飯器だ。(ライター・石井和美)