犯罪自慢した本人の法的責任

不用意な行為をツイートしてホワイト亭のブランドイメージに泥を塗ったアルバイト学生・A君。すべての元凶である彼の責任は道徳的にも法的にも大きい。

刈谷弁護士が挙げた“賠償請求され得る範囲”は下記の通り、きわめて広いものだ。

・企業全体のイメージダウンに対する損害
・店舗の清掃費用、新しい冷蔵庫の購入費用
・事件の影響で廃棄された食材のコスト
・臨時休業しなければ得られるはずだった利益
・申し出た客に返却する飲食代金
・キャンセルせざるを得なかった広告・宣伝費用
・客が精神的苦痛により企業を訴えて認められた場合の賠償金
・客が体調を崩したなどの健康被害に対する補償(実際に食中毒が起こり因果関係が認められた場合)

また、ステーキハウス「ブロンコビリー」足立梅島店のように、わすか2人のバイト店員が悪ふざけ投稿したことによって他の従業員22人を巻き込んで閉店したケース。これだと請求範囲はさらに広がる可能性があるという。

・閉店により契約履行できなくなった取引先、仕入れ先などに支払う違約金
・巻き添えで解雇される22人への支払い金(給料数ヶ月分など)
・退去に伴って発生する損失(賃貸借の違約金、無駄になった内装費用など)

刈谷弁護士は「アルバイトの悪ふざけ程度で閉店までするのが妥当かどうかという点も含め、必ずしもすべての損害賠償請求が認められるとは限りません」としながら、超高額の請求となることも否定しない。

「社会的な注目度が高い事件の場合、後から真似しようとする人間が出るのを防ぐため、あえて抑制効果を狙って“全部乗せ”で請求することはあります。このあたりは企業側と弁護士が打ち合わせて決めることですね」。

事実、他の報道によればブロンコビリーで“やらかした”2名の元アルバイトに対しては、数千万円規模の賠償請求が予想されているという。さらには威力業務妨害や偽計業務妨害といった刑事責任が加わる可能性もあり、ちょっとした悪ふざけが高く付いたものだと言える。

ちなみに今回の記事はバイト従業員を例にしているが、客として訪れた人間が同じように犯罪自慢をしても、やはり同じ考え方が適用されるという。むしろ「雇用している店側にも一定の責任があるのではないか」という考えが通じない分、実は“ただの客”のほうが裁判で認められる賠償額が高くなる可能性があるそうだ。しっかりキモに銘じておきたい。