<家電激戦区を歩く>群馬県・高崎市(3) 人情味溢れる店舗を目指す お客様と信頼関係を築く

2013.9.4 11:46配信

情に厚く、人と人とのつながりを大切にする群馬の県民性は、高崎市内の家電量販店にもはっきりと現れる。立地こそ、JR高崎駅前の都市型店舗と郊外立地のロードサイド店舗に分かれるが、スタッフの育成や配置には、ほかの地域に比べると「人柄」が重要視されているようだ。価格に厳しいお客様とのコミュニケーションに、スタッフの人柄は大切な要素になる。(取材・文/佐相彰彦)

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<店舗>

●首都圏を経験した幹部 群馬県で地域密着型を学ぶ

高崎市は都心の通勤圏内にある。東京まで新幹線で1時間弱、在来線でも2時間弱程度という時間距離で、東京に勤務する会社員は多い。こうした市民は情報への感度が高く、「最新の商品を求める方が多い」(ヤマダ電機LABI1高崎の新井克哉副店長)ことから、JR高崎駅前のLABI1高崎では最新商品の取り扱いを重視。もちろん、最新商品の知識だけでなく、トレンドに敏感なスタッフを揃えている。

新井副店長は、郊外型のテックランド伊勢崎で地域密着の接客を学び、LABI1高崎がオープンするときに異動して、デジタル機器のフロア長を務めた。「デジタル機器は趣味の要素が強い。その機器をお客様が、どのような場面で、どれくらいの頻度でお使いになるのかをしっかりと聞き出して、最適な商品を提案する」ことをモットーとして業務に従事。現在は副店長としてスタッフのスキルアップに取り組んでいる。

最新商品を求めるお客様が多いのは、ビックカメラ高崎東口店も同じ。榎阪崇志副店長は、「都心に勤務しておられるビックカメラのポイントカード会員の方々が、ご自宅に近くて便利ということで当店をご利用してくださっている。こうしたお客様は最新商品について詳しいので、われわれもスタッフの商品知識修得には力を入れている」という。

榎阪副店長は、有楽町店や新横浜店など、オフィス街に立地する店舗の経験が長く、会社員への接客ノウハウは万全。高崎東口店の副店長には昨年2月に就任した。高崎東口店は1978年のオープンと歴史があることから、30年以上にわたる常連客も多い。駅前立地ながら地域密着型の要素ももっている店舗で、「高齢のお客様もいらっしゃるので、最新商品をいかにわかりやすく伝えるかに重きを置いている」。

国道17号沿いにある郊外型店舗コジマNEW高崎店は、最新のデジタル機器よりも、生活に密着した白物家電に力を入れている。高野知也店長は、「郊外店は、駅前とは異なり、地域密着を追求していくことがお客様の確保につながる」とする。

今年春に店長に就任した高野店長は、NEW桐生店やNEW伊勢崎店など県内の店舗で業務に従事した経験が豊富で、群馬県を知り尽くしている。「人と人のつながりに重きを置くのが群馬の県民性。お客様とのコミュニケーションを重視している」と、お客様とのつながりを深めて固定客の確保に力を注いでいる。

●【接客】高めた知識をわかりやすく説明

多くの商品を案内するスキルを伸ばす

高崎市の家電量販店のスタッフたちは、群馬の県民性として「情に厚い」「人と人とのつながりを大切にする」を挙げる。さらに、「上州名物・かかあ天下」という言葉があるように、一家の主婦が決定権をもつ家庭が多いという。こうした特性を頭に入れながら、各店舗のスタッフは接客力の向上に励んでいる。

ビックカメラ高崎東口店のスタッフは30人強。勤続10年以上の中堅を核に、古くからのお客様に対応するベテランなど、ビックカメラの他店舗に比べるとスタッフの年齢層は高い。すでにお客様との信頼関係が確立されていて、「世間話をするために来店されるお客様も多い」(榎阪副店長)という。スタッフは、こうした会話のなかから家電・デジタル機器で悩んでいることを聞き出してアドバイスする。そのなかで最新商品の情報なども提供して、販売につなげている。スタッフの指名も多く、「そのスタッフが休みだった場合、『明日、また来るわ』と帰ってしまう方もいる」と榎阪副店長は苦笑する。時間をかけた接客は、とくに月末などは予算をもつ副店長にとっては悩みの種だったりもするが、最後にはこれが購入に結びつくので問題はないという。ゆっくりと時間をかけるという、駅前店とは思えない接客が功を奏しているのだ。

地下1階~地上5階(5階はレストランフロア)の多層階にわたるヤマダ電機LABI1高崎は、200人強のスタッフを抱える。専門性が高いスタッフが揃っているのが自慢だ。新井副店長は、「ファミリーに対しては、購入の決定権をもつ女性のお客様に対して、わかりやすく説明するよう心がけている」という。このわかりやすい説明がクチコミで広がって、高齢のお客様からも高い評価を得ているという。

コジマNEW高崎店でも、「女性のお客様が気軽に来店できる環境づくりに力を入れている。とくに、近隣に住む主婦層をリピーターとして獲得できるかがポイント」(高野店長)としており、デジタル機器と白物家電に分かれている2フロアで販売する商品を、20人強のスタッフが両方とも接客できるスキルを身につけさせている。「スマートフォンやタブレット端末など、スマートデバイス、玩具、太陽光などには、さらに商品知識が深い専任スタッフを配置している」という。

●【サポート・サービス】購入後のサポートを重視

店内では気軽に相談を受ける

人と人とのつながりを大切にする群馬県民をお客様として確保するには、家電量販店として信頼感の高いスタッフを揃え、安心・安全なサポート・サービスが必要だ。

コジマNEW高崎店では、契約・相談カウンターを設け、商品の購入に関してお客様が気軽に相談できる環境を整えている。家電量販店ではスタッフに立ち話で相談される姿がよく見られるが、「お客様から相談を受けるには、まず座っていただくことが重要」(高野店長)と考えている。

また、エアコンやテレビなどを購入されたお客様には、電話をして「使い勝手など商品に関する感想を聞いたり、設置や工事に不手際がなかったかどうかなどを確認したりしている」(高野店長)という。

ヤマダ電機LABI1高崎では、トラックで運ぶ大型商品は、店舗スタッフではない専門チームが配送しているが、「普通車でもお届けできる商品は、店内のスタッフがお届けしている」(新井副店長)という。これは、「お客様にうかがう日時を電話で確認させていただく際に、電池などの消耗品も必要かどうかを聞く」ことで、売り上げの向上につなげている。

ビックカメラ高崎東口店では、「サポートに関しては、お客様の要望をできる限り聞いている」(榎阪副店長)という。ノートパソコンの購入したお客様に対して、要望があれば無料で初期設定を行っているほか、デジタルカメラの修理に関しても、スタッフで対応できる程度のものであれば無料で行っている。「設定や修理を行っているときの会話が、ほかの商品の販売につながるケースがある」と、メリットは大きいようだ。

→群馬県・高崎市(4)に続く(2013年9月10日掲載)

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年8月26日付 vol.1494より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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