舞台『ジャンヌ』会見より。笹本玲奈 舞台『ジャンヌ』会見より。笹本玲奈

笹本玲奈がジャンヌ・ダルクを演じる舞台『ジャンヌ』の公開舞台稽古が9月4日、東京・世田谷パブリックシアターで行われた。

舞台『ジャンヌ』チケット情報

『ジャンヌ』は、ノーベル賞作家で、『ピグマリオン』(『マイ・フェア・レディ』原作)の作者としても知られるイギリスの劇作家、バーナード・ショーが、悲劇のヒロイン、ジャンヌ・ダルクを社会と葛藤するひとりの人間として描いた作品。1923年にニューヨークで初演され、ロングランヒットを記録すると瞬く間に世界各地で上演された。日本での初演は1926年の築地小劇場。今回、日本では44年ぶりの上演となる。数々の演劇賞を受賞する鵜山仁が演出を手がけ、デビュー15周年の笹本がジャンヌ役に挑戦する。共演は、ジャンヌと敵対するイギリスの伯爵・ウォリックに今井朋彦、ジャンヌとともに戦うフランスの貴公子デュノアに伊礼彼方、フランスの司教・コーションに村井國夫と多彩な顔ぶれが揃う。

ジャンヌが17歳の時から処刑される19歳までの姿を描く本作。フランスの片田舎で生まれたジャンヌは、ある時“神の声”を聞き、その声に導かれるままにフランス軍の先頭に立ってイギリス軍を破る。その後、神と会話する彼女を人々は恐れ、異端とみなし裁判にかける。ジャンヌはなぜ火刑台で死ななければならなかったのか…。聖女といわれたジャンヌの真実の姿が描かれる。この日行われた舞台稽古では、ジャンヌが裁かれる法廷での場面が公開され、重々しく厳粛なシーンの中で、ジャンヌの葛藤を笹本が熱演した。

ミュージカルで数々のヒロインを演じ、“ミュージカル・プリンセス”とも呼ばれる笹本は、歌のない台詞のみの舞台はこれが初めて。稽古後の囲み会見で笹本は、「ジャンヌ・ダルクには悲劇のヒロインというイメージしかなかったけど、だんだんと変わってきました。すごく繊細だったり、孤独を感じていたり、ちょっとかわいらしかったりと、そういう部分をたくさん表現できればいいなと思います」と意気込みを語った。演出の鵜山は、「炸裂しっぱなしで結構珍しいものが観られる。よくもまあこんなに役になりきれるもんだなと思いますよ」と笹本ジャンヌを絶賛。

また、囲み取材中、キャストの発言に執拗に絡んでくる村井に対し鵜山が「僕が何か言うとこんな風にいつも冷やかされてしまって。困ったもんです」と稽古でのエピソードを話すと、今井も「ダメ出しの度に口答えしてくる役者が多い」と明かし、取材陣を沸かせた。重厚な作品の裏では、村井がムードメーカーとなり、和やかな雰囲気も垣間見えた。

『ジャンヌ』は、9月5日(木)から24日(火)まで東京・世田谷パブリックシアター、9月28日(土)・29日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。チケット発売中。

取材・文:門 宏