ミラノ・スカラ座 2013年 日本公演 記者会見より ミラノ・スカラ座 2013年 日本公演 記者会見より

世界最高峰のオペラハウス、ミラノ・スカラ座が、4年ぶり通算8度目となる日本公演の開幕記者会見を9月3日に都内で行った。

「ミラノ・スカラ座 2013年 日本公演」の公演情報

イタリアが誇る大作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの生誕200周年を記念した今回の来日公演では、中期の傑作『リゴレット』と最後のオペラ作品『ファルスタッフ』を上演。いま世界で最も熱い期待を集めるふたりの“若き巨匠”ダニエル・ハーディングとグスターボ・ドゥダメルを指揮に抜擢したことでも注目を集めている。

『ファルスタッフ』を指揮するハーディングは「ヴェルディは若い頃に手がけた喜劇で失敗したことを長年引きずっていたと思います。でも、最後に書いたオペラで見事に挽回しました。『ファルスタッフ』から学べることはたくさん。人間なら誰しも人を苛めたり、騙したり、誘惑したり、悪事を働いたことがあるはず。それでも一番最後に、僕もバカなことをしたよ。でも最後に笑えればいいじゃないか――そんな風になれば、世の中はとても素晴らしいものになるでしょう。多くの悲劇ばかりを書いてきた作曲家が、人生の最後の作品に喜劇を書いたということは感慨深いものがあります」と語った。

また、『リゴレット』を指揮するドゥダメルは、「日本に来るのは2度目ですが、今回、スカラ座のファミリーの一員として参加できることは非常に光栄。これまでに偉大な指揮者たちと共演してきたスカラ座でヴェルディを指揮するというのは簡単なことではありません。長く伝わる伝統を守ることも重要ですし、それと同時に新しい扉を開くことも必要です」と抱負を述べた。

会見には、イタリア・オペラを代表する大歌手にして、『リゴレット』のタイトルロールを歌うレオ・ヌッチも登壇。1981年のスカラ座の初来日公演にも参加した巨匠は「日本の皆さんのオペラへの教養の深さには感銘を受けます。素晴らしいコンサートホールの数々は、イタリアよりも優れているし、何より観客の皆さんのマナーが素晴らしい。コンサートが終わった後も、楽屋口にサインを求める行列ができていたりと、その情熱にはいつも感激でいっぱいです」と来日への喜びを語った。これまでに公式で493回、私的なものも含めると約600回も『リゴレット』を演じてきたというレオ・ヌッチ。今回も当代最高のリゴレットを披露してくれるはずだ。

出演者・スタッフなど総勢462名が来日し、9月4日から25日まで行われる「ミラノ・スカラ座 2013年 日本公演」。東京文化会館(東京・上野)で「ファルスタッフ」を、NHKホール(東京・渋谷)で「リゴレット」を上演するほか、特別演奏会を東京・名古屋・大阪で開催。大阪公演は1988年以来25年ぶり。名古屋での公演は今回が初となる。いずれもチケットは発売中。

日本公演のうち3公演はNHKでの放送が決定。また、東日本大震災の復興支援として、9月15日(日)の「リゴレット」公演は、東京・渋谷のNHKふれあい広場およびNHK仙台放送局にてライブビューイングで無料公開される。