……それでは、「プレゼン」のときはどうすればよいでしょうか?

「プレゼンの時は、落ち着いていた方がいいですよね。そうすると、『落ち着いた声』が欲しいところです。『落ち着いた声』には『アクセント』が重要になってきます。実は話すとき、『語尾』を落とすと、声が落ち着くんですよ。

日本語のアクセントは常に『高低』であって、『強弱』ではありません。単純に、高さの上げ下げをきちんとすればいいんです。自分がキンキンした声のタイプだな、と思ったら、落ち着いてきちんと伝えるためにしっかり語尾を落とす。

逆に自分が普段から覇気のない話し方だと思うタイプの人は、言葉の言い始めの 『上げるところ』をしっかり意識してください。

例えば、『それでは、始めさせていただきます』という言葉も、上げる部分、落とす部分を意識してメリハリをつければ、プレゼンにふさわしい落ち着いた話し方になります」

「声」はあくまで、相手があってこそのコミュニケーションツール!

……つまりシーン別の場合、「相手が誰なのか、何の目的なのか」によって、自分がどんな声を出すのがふさわしいかを考える必要があるということですかね。

「そうですね。結局『しゃべる』というのは、独り言ではなくて、相手が必ずいる訳じゃないですか。その相手と気持ちよくコミュニケーションが取れなければ意味がないんです。自分の発する声が、相手の好む声であれば一番理想ですし、また好む声ではなくともせめて、『イヤな気持ちにさせない』声であれば、それで十分です。あとは楽しく会話をしてください。自分が楽しくなければ相手も楽しくないですからね」

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いかがでしたか。篠原さんの元には、声に悩みを持つ人、声のプロになりたい人、人前で話す必要がある人などさまざまな「声」に関する課題を抱えた方が集まるそうですが、「声」というひとつのコミュニケーション方法を磨いて行くことによって、自信がついたりなどし、人生が変わった方も多いそうです。

まさに「声」は、使い用です。「声」というツールを上手に使いこなして、人生を豊かにしていきたいものですね。

 

 篠原さなえ(しのはら・さなえ)DJ・レポーター・番組司会アシスタント・アニメ声優を経て、スポーツ実況の道へ。野球や駅伝を実況中継をする女性として、パイオニアでもある。
ほかにも、スポーツ取材記事の執筆・野球番組のディレクターなど幅広くこなす。
現在は、バラエティや情報番組・CMなどのナレーション、また銀行ATMの機械の音声など、様々な「声」の仕事をする傍ら、新人への個人指導による教育活動も行っている。
その指導の中で生まれた、「声」に関する様々なノウハウを、「日本語の声の教科書」にしたいと著わしたのが『「魅せる声」のつくり方』であり、また、唇の使い方一つで声が変わる画期的なノウハウを記した本も11月に出版予定である。

「魅せる声」のつくり方紹介ページ [http://www.ne.jp/asahi/sanae/shinohara/narration-zemi-9.html]
声のビフォーアフター [http://www.youtube.com/watch?v=ujpIcCCHwXI&feature=youtu.be]
「魅せる声」のつくり方の内容説明ビデオ [http://www.youtube.com/watch?v=smTIgqTVIFY]
ブログ [http://sanaeshinohara.blog8.fc2.com/]

 

1974年生まれ、東京在住。前職は大手ネットショッピングモールのPR担当。2009年より「ライフハッカー」にて恋愛記事の執筆を開始。現在は「金メダル級のダメ男とばかりご縁がある切ない人生を送ってきた、虫の息の恋愛コラムライター」として活動中。また、別ジャンルで「ヨリエ・スディラジェンコフ」名での執筆活動も行っている。