『ウルヴァリン:SAMURAI』を手がけたジェームズ・マンゴールド監督

人気シリーズの最新作『ウルヴァリン:SAMURAI』が13日(金)から公開になる前に、メガホンをとったジェームズ・マンゴールド監督に話をきいた。

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本作は、不老不死の肉体と強靭な爪をそなえた“ウルヴァリン”ことローガンが、日本を舞台に過酷な戦いに巻き込まれていく様を描いた超大作。ヒュー・ジャックマンが主演を務め、真田広之、TAO、福島リラなど日本人キャストも出演し、撮影時には日本で大規模なロケ撮影が行われた。

ウルヴァリンが日本を舞台に活躍するエピソードは原作コミックにも登場するが、マンゴールド監督は、そもそもウルヴァリンと日本の“浪人”には共通点が多いと指摘する。「侍映画は西部劇と共通する部分が多く、原作コミックにもウエスタンの要素があるんだ。例えば、名誉に対する考え方だったり、主人公が偉大な力を持っているのに、進んで使おうとしない部分とかね。そもそも私たちがヒーローに惹かれるのは、力に対して“謙虚さ”を持っているからだと思う。彼らは何かしらの怒りを抱えていて、時には悪役のもつ“闇”さえも理解してしまう。英雄もまたかつては誰かを傷つけたことがあるから、罪をつぐないたいと思っているんだよ」。

だからこそ監督は日本で撮影することにこだわった。「選択の余地はなかった。それに場所だけでなく配役も重要だった。他の映画だと日本人の役なのに日本人ではなかったりするだろ? でも中国や韓国の人ではダメなんだ。それぞれ異なった文化や考え方があるわけだからね。だから、日本人で日本の文化を理解していて、英語と日本語の両方で演技ができて、役に合っている人を探さなければならなかった。本当に難しかったよ」。

マンゴールド監督は昔から日本の文化に深い愛情を抱いていたそうで、本作では豪快なアクションをふんだんに盛り込みながら、日本の美しい風景や情緒を写しとっている。「日本のペースやリズムを描きたかったんだ。例えば、日本人の思慮深さや情緒、人がすれ違う時にすっと視線をそらしたりするような瞬間を描きたかったんだ」。そのこだわりは撮影にまで及んでいる。「私は小津安二郎監督が好きで多くのことを学んでいるんだ。だから私はどの映画でもカメラは可能な限り低い位置にセットするし、映画全編を同じレンズで撮影するようにしている。小津監督がほとんどすべてのシーンを50ミリのレンズで撮影したようにね。この映画はアクションがたくさんあるけど、同時に日本の“静けさ”を描きたかったからだ」。

撮影中は日本人キャストやスタッフの意見を積極的に取り入れて、日本人が観ても違和感のない描写や物語にすることに努めたというマンゴールド監督。彼の深い“日本愛”とアクション大作がどのように融合しているのか楽しみだ。

『ウルヴァリン:SAMURAI』
9月13日(金)TOHOシネマズ日劇他全国ロードショー