(左から)三浦春馬、小栗旬

小栗旬と三浦春馬が3Dアニメーション映画『キャプテンハーロック』で声優としてあいまみえた。ふたりの共演は2009年の『クローズZERO II』以来。人気・実力を兼ね備え、それぞれの世代を代表するふたりが作品、そして互いについて語った。

その他の写真

原作は言わずと知れた松本零士の名作漫画「宇宙海賊キャプテンハーロック」であり、これまでTVアニメシリーズ、劇場版がたびたび製作されてきている。

かつては英雄と称されながらもある思いを胸に海賊となってアルカディア号を駆るハーロック。世代、国境を超えて愛され続けるヒーローを演じるとあって小栗は「プレッシャーがなかったと言えば嘘になる」と漏らすが、「新しい形で作り上げていく作品に参加するということで、(過去のシリーズを)マネしてもしょうがないし、それなら僕を呼ばないだろうとも思い、自分なりに出来ることをやらせてもらった」と語る。

声優初挑戦の三浦は「実は3年程前から声優の仕事をやってみたいとずっと考えていた」という。ハーロック暗殺の密命を帯び、アルカディア号に乗り込むが、ハーロックの真意を知り、魅了されていく若者・ヤマ役で、荒牧伸志監督、脚本を担当した作家の福井晴敏氏に見守られて収録に臨んだ。狭いブースからキャラクターに命を吹き込み、自分の声を観客に届ける。そんな声優の仕事の醍醐味を感じたのが終盤にヤマが演説を行うシーン。「最初は気持ちを込めて、熱弁を奮う感覚で臨んだけどなかなかうまくいかなかったんです。その時、福井さんから『舞台にひとり、立ってるイメージで。目の前に2千人がいて、あなたの言葉を待ってます。自分の持ってるセリフをひとりひとりに届けるイメージでやってください』と言われたんです。やってみたらいいものができて、凄いなと心底思いました」。

小栗と三浦の年の差は8つ。初共演以来、親交を深めてきたが、小栗は三浦の精神・肉体両面での成長を称えつつ、さらに20代前半の若い世代の中でも三浦を特別たらしめる資質――「主役を演じられること」に言及。それは小栗が蜷川幸雄から言われ続けてきたことでもある。「捉え方によっては語弊があるかもしれないから、慎重に言わなくちゃいけないけど、主役をやらない限り感じられないことは絶対にある。僕が春馬の年の頃にはまだほとんど主役の経験はなかったけど、春馬にせよ岡田将生にせよ、次々と主役をこなして、責任やプレッシャーの中でいろんな経験をしてる。それを続けることでたくましくなってるなと感じます」。

一方、三浦は憧れの存在として小栗を追いかけてきたが、その背中から何より感じるのは人を惹きつけるカリスマ性。「旬さんの周りにはいつも人が集まってくる」と明かす。「今回の収録でも、収録しながら旬さんと生のお芝居をしてる時のような緊迫感が意識せず声に出ていたなと思う。まさにハーロックとヤマの関係性のまま臨めたと思います」。

『キャプテンハーロック』
公開中

取材・文・写真:黒豆直樹