『MONSTER』(仮)撮影現場の様子 (C)2014映画『MONSTER(仮)』製作委員会

藤原竜也と山田孝之を主演に、中田英夫がメガホンを執る『MONSTER』(仮)の撮影現場が公開され、キャストと監督が取材に応じた。

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本作は、韓国で2010年に大ヒットを記録した映画『超能力者』を基にしたもの。オリジナルでカン・ドンウォンが演じた役に当たる、眼差しひとつで見る者を操る“男”に藤原竜也。コ・スが演じた役に当たる、唯一操られない人物である田中終一に山田孝之。また、終一と出会い、運命の渦に巻き込まれていくヒロイン・叶絵に石原さとみが扮している。石原含め、それぞれのキャラクターに日本版ならではの解釈と役割が与えられているのも、本作の見どころだ。

人ならざる力を持って生まれてしまい、“怪物”と呼ばれるような人生を送らなければいけなかったふたりの男の宿命の対決を描くということで、プロジェクト名として本作に付けられた仮タイトルは『MONSTER』(仮)。アクションやサスペンスの要素に加え、藤原と山田の芝居にも気迫と情念がぶつかり合い、ふたりの競演にも緊張と興奮が漂う。

クランクアップまであと1週間というこの時、撮影されていたのは、地下浄水場の螺旋階段のセットシーン。地上から約3メートルの高さで、藤原、山田、石原の3人による息詰まるやりとりが続く。「アクションばっかりで、撮影に入って4日目で、なんでこのオファー受けてしまったんだって後悔が始まりました」と笑う山田に、藤原は「山田君はひとりで大立ち回りして頑張っていて、これは山田君による山田君のための映画だなと。役では対峙してますけど、藤原としては申し訳ない気持ちでやらせてもらってます(笑)」。一方、ヒロインの石原は、「“男”と終一は対称的。“男”も終一と絡んでいくことで人間らしさも見えてきて、同情心も生まれてきますし、終一の一途な感じも強くて素敵だなと思います」と語る。

いかにリアリティを持たせて演じるかは、藤原も山田もこだわりとして語っていたことだが、現場の芝居を見ていても、宿命を背負ってしまった男たちの怒りと哀しみ、共感と反発が、生々しく突き刺さってくる作品となることは間違いないだろう。同性愛的な意味ではなく、「男たちのラブストーリーを撮りたい」と中田監督。ぶつかり合うふたりのドラマに観客の心も操られそうだ。

取材・文:渡辺水央

『MONSTER』(仮)
2014年全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画