栗山千明

女優の栗山千明が出演作『劇場版 ATARU‐THE FIRST LOVE & THE LAST KILL‐』の公開を前にインタビューに応じた。米映画『キル・ビル』で世界をあっと言わせてから早10年。かつては“クールビューティー”の代名詞だった彼女も、現在は若手実力派として日本映画界に欠かせない存在だ。本作でも緊迫感あふれるシリアスな表情から、コメディ映画顔負けの丁々発止まで披露しており「私に対して、ある種のイメージが固まっている人もいると思うんです。だからこそ、振り幅の大きな演技で驚いてもらえるのは、女優として楽しいこと。いつまでもクールじゃ、つまらないですから」と新境地にも恐れを知らない。

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映画は中居正広演じる特別な能力を持ったFBI捜査官アタル(チョコザイ/猪口在)の活躍を描いた人気ドラマの劇場版。栗山演じる蛯名舞子は、警察を辞め「捨て山探偵社」をオープンさせ、再び難事件と向き合うアタルを固い絆でサポートする。「組織の中で思い通りに行動できない刑事と、捜査情報にアクセスできない探偵。今回の映画では、試練の形が変わりました。ただ、猪突猛進という言葉がぴったりな舞子本人の強い性格は変わっていない。それが私もうれしかったですね」(栗山)。

自身の出演ドラマが映画化されるのは『ハゲタカ』(2009)以来。『ATARU』の世界観が昨年4月から放送された連続ドラマ、今年1月放送のTVスペシャルを経て、非常に短いスパンで広がるなか「この1年半は、ほとんど舞子を演じていた気がします。もう舞子が栗山千明に似てきたのか、もはや栗山千明が舞子なのか…。これほど役に“なじむ”体験は初めてですね」とキャラクターへの思い入れは格別だ。

北村一輝演じる警視庁・沢主任との息もピッタリで「主任とのコミカルなやりとりは、最初こそ戸惑いもあったんですが、劇場版の撮影ではもう反射的に(笑)。これまでの積み重ねがあるからこそ、ですね」と誇らしげ。本作の公開後、10月17日に開幕する第26回東京国際映画祭では、フェスティバル・ミューズとして映画祭を国内外にアピールする。「ちょっと緊張してますけど…、頑張ります!」(栗山)。

『劇場版 ATARU -THE FIRST LOVE&THE LAST KILL-』
9月14日(土)公開

取材・文・写真:内田 涼