カラーバリエーションが増えた「iPhone 5s」。予約を受けつけないので入手は難しくなりそうだ

ソフトバンクモバイル、KDDI(au)、NTTドコモの3キャリアは、9月20日に「iPhone 5s」と「iPhone 5c」を発売する。一体どのキャリアが安いのか。学生に該当しない大人が、新規契約・MNP・機種変更で購入した場合に、端末代と毎月の通信料金を合計した2年間のトータル費用を比較した。なお、下取りや固定通信サービスとのセット割引き、キャリアが一部の既存ユーザーに配布しているクーポンなど、誰もが利用できるわけではないキャンペーン・割引きは適用していない。

●何とドコモは約10万円! キャリアによって異なる一括端末価格

各キャリアとも、料金プランは「iPhone 5s」「iPhone 5c」共通。端末代は、キャリア・機種・容量によって異なり、最大24か月間、機種ごとに設定した金額を利用料金から割り引くサービス「月月割(ソフトバンクモバイル)」「毎月割(au)」「月々サポート(ドコモ)」適用時の実質負担額は、「iPhone 5c」の16GBモデルなど、最も安いパターンだと「0円」になる。さらに、ソフトバンクモバイルは、新規契約またはMNPで「iPhone 5c」を購入すると、「iPhone 5c 購入サポート」として、1万円相当をキャッシュバック。auも同様に、新規契約またはMNPで「iPhone 5c」の16GB/32モデルを購入すると、最大1万円キャッシュバックする。

24回などの分割払いではなく、一括で支払う場合に気になる端末価格は、ドコモだけが突出して高い。「iPhone 5c」の16GBモデル以外は、四捨五入すると約10万円に達する。ただ、「月々サポート」による割引金額が他キャリアよりも大きいため、一括払い時の価格から割引額の合計を引いた実質負担額は、他の2キャリアと同じ0円か、わずかに安い水準になる。とはいえ、心理的に、少々購入をためらってしまう金額だ。また、何らかの理由で購入後2年以内に解約・機種変更した場合、他のキャリアに比べて割高になる。モデルチェンジのたびに、MNPまたは機種変更で新しいiPhoneを手に入れたい人は、キャリアによる価格設定の違いを頭に入れておこう。

なお、「実質負担額」は、あくまでも計算上の金額であり、割引適用期間中に、回線契約を解約したり、機種変更したりすると、割引は終了する。無条件で端末をタダで入手できるワケではない。費用をできるだけ安く抑えたいなら、「実質○○円」の最新機種ではなく、「一括○○円」の旧機種から選んだほうがいい。

●機種変更はドコモとソフトバンク、MNPはソフトバンクとauが安い

毎月の通信料金(基本使用料+パケット定額サービス+インターネット接続料)は、新規契約の場合、ソフトバンクモバイルとauは月額6775円、ドコモは月額6555円。ただし、ソフトバンクモバイルとauは、同一キャリア間の通話が1時~21時まで無料になるが、ドコモは無料ではなく、別途通話料が必要になる。月額700円の有料オプション「Xiカケ・ホーダイ」(キャンペーン適用時、最大1年間月額350円)に加入すれば、ドコモ間の国内通話が24時間無料になるが、このオプション料金を加算すると、月額7255円となり、3キャリア中、もっとも高くなる。

MNPの場合、指定の条件を満たすと、ソフトバンクモバイルとauは月額980円の基本使用料が2年間無料になり、新規契約より月々980円安くなる(ソフトバンクモバイルは「バンバンのりかえ割」で「基本使用料2年間0円」の特典を選んだ場合)。ドコモは、MNP向けキャンペーンとして、9月20日から「ドコモへスイッチ割」、学生を対象とした「ドコモへスイッチ学割」、以前ドコモで使っていた人(番号)を対象とした「ドコモへおかえり割」を実施する。他のキャリアからドコモへ初めて乗りかえる人(番号)を対象とした「ドコモへスイッチ割」の場合、月額780円の基本使用料が1年間無料になるが、無料期間がソフトバンクモバイル・auの半分なので、2年間の通信料金の合計は他のキャリアより高い。逆に「ドコモへスイッチ学割」「ドコモへおかえり割」の該当者なら、ドコモが最も安い。

次に、最も該当者が多いと思われる機種変更で比較しよう。機種変更向けキャンペーンとして、9月20日から、ソフトバンクモバイルは現在実施中の「かいかえ割」の内容を拡充し、ドコモは新たに「iPhone買いかえ割」を開始する。auは、機種変更向けの割引はない。2年間の通信料金の合計は、ソフトバンクモバイルが最も安く、次いでドコモ、auの順となる。ただし、端末代が異なるので、2年間のトータル費用で比較すると、ドコモ、ソフトバンクモバイル、auの順に入れ替わる。

●在庫状況・入手までの時間も比較の対象に

iPhoneは、毎回、発売直後は、予約しなければ買えず、予約してもなかなか入荷しない、入荷時期がわからないという状況が発生している。2012年9月発売の「iPhone 5」は、品薄がほぼ解消するまで、2か月ほどかかった。今回は、3キャリアとも「iPhone 5c」しか予約を受け付けず、「iPhone 5s」は、公式には発売日以降しか予約を受け付けないそうだ。いち早く手に入れるために、価格や機能面の差を気にせず、端末供給量が多く、より「買いやすい」キャリア・容量・カラーを選ぶという判断もありだろう。

ソフトバンクモバイルとauが販売していた「iPhone 5」は、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、ほぼ6対4の比率で、ソフトバンクモバイルのほうが多く売れていた(詳しくは<日本で最も売れたスマートフォンは「iPhone 5」 歴代最速の販売ペース>を参照)。もう一世代前の「iPhone 4S」(iPhone 4s)も、比率は同様だった。新たにドコモが参入し、三つどもえになったことで、ここ2年間、ほぼ一定だったシェアはどう変わるのか。ドコモの挑戦的な価格設定に対する評価もみえてくるだろう。

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

※本記事で紹介したキャンペーン内容・料金などは、2013年9月14日時点のものです。最新情報は、各キャリアのウェブサイトでご確認ください。

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