坂本真綾と沢城みゆき

松本零士の傑作を壮大な映像で甦らせた映画『キャプテンハーロック』が間もなく公開になる。本作は自由を求める男たちの熱いドラマを描いた作品だが、女性キャラクターが物語の重要なカギを握っている。そこで、本作のボイスキャストを努めた坂本真綾と沢城みゆきに話を聞いた。

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本作は、地球への居住権をめぐって紛争が繰り返される未来で、かつて英雄と呼ばれるも現在は“宇宙海賊”になって政府に反旗を翻した男キャプテンハーロックの戦いを描いた作品。ハーロックの声を小栗旬、その命を狙う青年ヤマの声を三浦春馬が務める。

本作で坂本が演じたナミは、ヤマの兄イソラの妻で、劇中ではハーロックの前に立ちはだかるイソラと、ハーロックを暗殺する使命を追うも彼に魅了されていくヤマの間で揺れ動く。坂本は「ナミは、はかない存在なのに強さを感じる“母性の人”。イソラはとても不器用で、自分ですべてを抱えて周囲から理解されないけど、実はとても優しい人。それを理解している女性という意味では、イソラとの関係を主軸に考えました」と説明する。

一方、沢城が演じたケイは、ハーロックが率いるアルカディア号の乗組員で、男勝りのキャラクターだが、実はハーロックに密かに想いを寄せている。「脚本を読んだときハーロックは少し近づきがたいキャラクターで『どうしてケイは一緒にいるんだろう?』と思っていたのですが、小栗さんの声が入ると、とても等身大の人に思えて、近寄れる場所にいてくれる人に感じたのが印象的でした。キャプテンを大好きであること、仲間を大事に思っていることを芯にして収録に取り組みました」

本作で男たちは“自由”を求めて激しい戦いに身を投じる。しかし、真の自由とは一体、何なのだろか? 坂本はそれを「永遠のテーマ」だという。「ナミは大事にしている人がいるのに自分の存在が相手を縛り付けている。だから、その人が未来に踏み出すためには心を鬼にして、ある選択をするわけですけど、お互いにそんなつもりがなくても、優しさが相手を縛ることはあるんだなぁと。心が何かにしがみついている時が一番不自由。人は自由を外側に求めるけど、実は内側にあるものだと思います」。

ここで描かれるドラマは、“自由”の問題も含め、年齢や性別を超えて観客に訴える内容だ。沢城は「戦艦同士のスケールの大きなエキサイティングなシーンもあれば、すごくミニマムで繊細な心の葛藤も描かれていて、作品のレンジが広いんです。だから戦艦が好きな人で観に来て下さった方には人間ドラマにも感動していただけると思いますし、ナミに感情移入した方でも『戦艦ってカッコいいね』と言ってもらえる映画だと思います」

『キャプテンハーロック』
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