『エレニの帰郷』

『旅芸人の記録』『アレクサンダー大王』など映画史に名を残す傑作を数々発表するも昨年1月に交通事故でこの世を去った巨匠テオ・アンゲロプロス監督の遺作『エレニの帰郷』が東映の配給で来年1月に公開されることが決定した。

その他の写真

アンゲロプロス監督は1935年にギリシアのアテネで生まれた映画作家で、1975年に発表した『旅芸人の記録』で世界中の評論家、映画ファンに衝撃を与えた。その後も『シテール島の船出』『霧の中の風景』『永遠と一日』など傑作を次々と発表。ギリシア史、西欧史を巧みに取り入れたドラマ作り、驚異的な長回し映像によって生み出される映像世界は高い評価を集め、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアをはじめ、世界の映画祭で数々の受賞。つねに最新作が待たれる巨匠として知られていたが、昨年、『エレニの帰郷』に続く最新作の撮影中に交通事故に遭い、この世を去った。

このほど公開される『エレニの帰郷』は、2004年の『エレニの旅』に続く三部作の2作目で、ギリシャにルーツを持つアメリカ映画監督、彼の最愛の母、そして彼女を想い続けた男性、母が愛した男の半世紀に渡る物語が描かれる。ウィレム・デフォーが映画監督役を演じるほか、ブルーノ・ガンツ、ミシェル・ピッコリ、イレーヌ・ジャコブらが出演する。

配給を手がける東映は、『相棒』シリーズや子どもたちに大人気の『仮面ライダー』『プリキュア』シリーズなどを手がけているが、岡田裕介社長は「私にとって、20世紀を代表する三大映画監督と言えば、黒澤明、デビッド・リーン、そしてテオ・アンゲロプロスです」といい、「アンゲロプロス監督の素晴らしさは、映像作家としての卓越した才能、そしてCGを一切使用しない、我々を圧倒する映像の強さに尽きます。作品の数々は、100年後も色あせずに残ることでしょう。そのテオ・アンゲロプロス監督の遺作が、未だ日本で公開されていません。一映画人として、幻の名作を何としても日本で公開すべきだという強い思いに駆られ、フランス映画社の協力のもと、東映で配給することになりました」と説明。今後はエンターテインメント作品だけでなく、芸術的な作品を含む幅広いラインナップを目指すという。

本作は、10月に開幕する第26回東京国際映画祭で特別招待作品として上映され、来年1月に全国公開される。

『エレニの帰郷』
2014年1月全国ロードショー