ジョナサン・レヴィン監督

ジョセフ・ゴードン=レヴィットが主演した『50/50 フィフティ・フィフティ』(11)で高評価を得たジョナサン・レヴィン監督が初来日! 最新作『ウォーム・ボディーズ』も全米で大ヒットしたが、取材に応じたレヴィン監督が良作を生み出す秘訣を語った。

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新鋭作家アイザック・マリオンの原作を映像化した本作は、ゾンビの青年が勝ち気な美少女に恋をする青春“ゾンビ”ラブコメ。ゾンビと人間、“身分違い”の恋は『ロミオとジュリエット』(68)的である一方、脳ミソを喰らう描写などは本格的なホラー。レヴィン監督は、「本当に多くの映画を観たよ」と裏話を明かす。「バズ・ラーマン監督バージョンの『ロミオ&ジュリエット』(96)まで観てね(笑)。それに、『エルム街の悪夢』や『13日の金曜日』シリーズとかね。終末世界を描いた映画も数多く観て、表現方法の参考にしたよ」。

しかし、観ているうちにゾンビ映画や恋愛映画というジャンル感は、どうでもよくなってくる。主人公“R”(ニコラス・ホルト)の奔走にオクテ男子は激しく共感、彼に心開いてゆくジュリー(テリーサ・パーマー)を観た女子は彼女のように愛されたいと願い、しかもラストは大感動! 絶妙なバランス感で進み、涙と笑いの感動作として成立している。「そう言ってくれて、うれしいよ。僕自身、ゾンビ映画や恋愛映画という分別はしていなかった。ただ、最初はシリアス全開だったけれど、途中でコミカルな作品にもなると思った。『50/50 フィフティ・フィフティ』(11)もそうだったけれど、最初は真面目に取り組み、最終的にキャラクターの感情の基礎を完璧に築ければ、そこに遊びの余地が生まれるわけ。そのキャラクターの設定さえブレなければ――今回もそうだけれど――いい映画になる」。

37歳の新鋭だが、その穏やかな語り口は強い自信で満ちている。そして、「僕は若者層とシンクロしている男だよ(笑)」と監督作が大ヒットしている理由は、ターゲットの気持ちを理解していることも勝因! とハッキリと言う。実に、気持ちがいい男だ! 「日本でも若者層をターゲットにしている作品が多いと思うけれど、ハリウッドでは若い人を見下す作品が多いよ(笑)。でも、僕たちの映画は洗練されていて、ヒネリも効いている。メチャメチャ楽しいほかでは観ない内容の映画になったと思うので、皆に観てほしいなあ(笑)」。

『ウォーム・ボディーズ』
公開中

取材・文・写真:鴇田 崇