横浜オリジナルの方言は無いのか!?

「じゃん」「横はいり」とも、他県から流れてきた言葉という事実にショックを隠せない記者。せめて1つくらい横浜から生まれたオリジナルの方言はないものかと、先生に尋ねてみたのだが、残念ながら横浜発祥と言い切れる方言はないんですよ、と先生。

ただ、横浜発祥のものはなくても、方言にまつわる横浜のよもやま話は色々あるんですとのこと。

横浜は港町で、海外から最初に伝わったものも多く、外国人と接する機会があったため、横浜から始まった、外国語由来の言葉があるといわれる。

例えば、建物の上に雨除けで作られる「上屋(うわや)」は、「上ハウス」という意味と勘違いして「ウエアハウス(warehouse・倉庫)」が訛ってできたなどの説がある。

他に、昔は洋犬のことを「カメヤ」と言っていたが、これは外国人が犬を「Come here!」と呼んでいたのが「カメヤ!」に聞こえ、洋犬のことをカメヤ・カメというものだと勘違いしたらしい。

これらは、色々ある説の1つとして聞いていただきたいとのこと。


今度は、先生から質問。

横浜でも「~じゃね?」って使いますか?
「『そろそろ時間、やばいんじゃね?』とか使いますよ。高校生とか、若い子の方が使うと思いますが」
と答えると「これは北関東から入ってきた方言です」と衝撃発言!

「ない」が「ね」に変わるのは西日本ではなく、関東ならではの使い方だそうだ。「行かない?」→「行かね?」など。

北関東が発祥で「じゃない?」→「じゃね?」に変わり、これは「じゃん」と真逆のルートで北関東から東京に入り、横浜にも広がったそう。

若者を中心に広がった方言を「新方言」と呼ぶが、「じゃね」も新方言の1つなのだという。

若者は最新の流行り言葉のように、「じゃね?」を連発しているが、ただの北関東訛りだったのだ。栃木県出身のお笑い芸人、U字工事は「神奈川県は関東のエース」と言っていたが、まさかエースが北関東をリスペクトしていたとは・・・。
こんなところにも方言のおもしろさが隠れていた。

 

取材を終えて

ふだん何気なく使っている言葉だが、ルーツを辿ると意外な発見があり、さらに興味が湧いてきた。各地の出身者に「じゃん」「横はいり」「じゃね?」を使うか聞いてみると、盛り上がるかもしれない。

「じゃん」は横浜発祥ではなかったが、ハマっ子が自信を持って使っていたから横浜から広まったのだと聞き、これからも誇りを持って使えばいい“じゃん”と思った。

 

(参考)
■井上史雄「新方言辞典稿・インターネット版」(1996年版)
地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺 ―第27回「古株じゃん 新米じゃね」

井上 史雄
明海大学、外国語学部・日本語学科教授。
専門は社会言語学、方言学。NHK放送用語委員、(文学)博士。著書に「方言学の新地平」、「辞典(新しい日本語)」などがある。

※本記事は2011年9月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
 
 

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