瀬奈じゅん、田代万里生  撮影:源賀津己 瀬奈じゅん、田代万里生 撮影:源賀津己

1934年にブロードウェイで誕生した、名匠コール・ポーターの手によるミュージカル・コメディ『エニシング・ゴーズ』。タイトル曲「エニシング・ゴーズ」などスタンダードとして長く愛されている楽曲群が彩るこの作品は、誕生から約80年経った今も魅力は少しも古びず、2011年から開幕したリバイバル版はトニー賞3冠に輝いた。日本でも1989年に宮本亜門演出、大地真央主演で初演されて以来たびたび上演されているが、このたび17年ぶりに山田和也演出、瀬奈じゅん主演の新バージョンが誕生。10月7日、東京・帝国劇場での開幕を間近に控え、リノ役の瀬奈じゅん、ビリー役の田代万里生に話を聞いた。

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タイトルの『エニシング・ゴーズ』とは“なんでもあり!”という意味。豪華客船内でのスター歌手やギャングらが入り乱れての展開自体が“なんでもあり!”のハチャメチャぶりだが、彼らキャストにとってもやることが満載で、“なんでもあり!”状態な忙しさのよう。「こないだ稽古場に12時間ぐらいいました。こんなに長くいたのは宝塚以来(笑)」(瀬奈)、「ビリーはほぼ出ずっぱりだし、やってもやっても終わらない! ダンスもこれまでの作品で一番多いんです」(田代)、「ナンバーもノリノリの楽しいものからしっとりしたものまでテイストが様々。船上が舞台でセットは変わらないから、物語や場面の雰囲気をガラッと変えるのも、私たちに託されているところがあるんですよね」(瀬奈)。

瀬奈演じるナイトクラブのスター歌手・リノは、田代演じるビジネスマン・ビリーに熱を上げているが、ビリーは別の男と婚約中のお嬢様に夢中。先の読めないこの四角関係の行方も気になるところ。「ハッピーオーラ全開のリノは魅力的なんだけど、ビリーにとっては年上の大スターだし、恋愛対象としてはなかなか見ることができない。姉みたいな感覚なんですよね」(田代)、「リノからすればビリーは周りにはいない、自分をスターとして崇めない“普通の男性”だったんでしょうね。芸名じゃなく本名の自分を見てくれる人に惹かれる気持ちはなんかわかる気がする……」(瀬奈)。

旧き良き味わいと、現代感覚にあふれた実力派キャストたちの表現力のミックス。ミュージカルならではの楽しさと真髄が堪能できそうだ。「観る前に準備することなんてなーんにもない(笑)。何も考えずに来ていただいても、幸せになって、笑って帰っていただけると思います!」(田代)、「ミュージカルといっても今はいろいろな作品があるけれど、歌とダンスとお芝居、その三角形のバランスがとてもいいんですね。『お客様を飽きさせずに楽しませます!』という思いがいっぱい詰まった、本当に楽しいミュージカルです!」(瀬奈)。

公演は10月7日(月)から28日(月)にかけ帝国劇場にて。その後11月1日(金)から4日(月・祝)に大阪・シアターBRAVA!でも上演される。チケットは発売中。

取材・文 武田吏都