セキュリティソフトの店頭・ネット通販市場に変化が生じている。今年8月、販売本数シェアでソースネクストが2位に浮上、これまで2位だったシマンテックが3位に後退した。2010年11月にはシェア37.6%でトップを走っていたシマンテックだが徐々に力を失い、この8月は21.4%まで低下。一方、じりじりとシェアを上げてきたソースネクストが21.5%を獲得し、僅差ながら逆転した。ソースネクストがシマンテックを上回り2位につけたのは過去3年間で初めて。

メーカー別の販売本数シェアをみると、トレンドマイクロが30~40%で1位を堅持している。続くシマンテックは2012年7月頃までトップ争いに絡んでいたが、この1年は振るわない。不調の一因とみられるのは、キヤノンITソリューションズとカスペルスキーの躍進だ。とくに、キヤノンITソリューションズのシェアは10%を突破し、存在感を増してきた。

ただ、セキュリティソフト市場全体を考えると、別の見方もできる。BCNランキングは家電量販店やEコマースサイトのPOSデータをもとにしており、メーカーの直販分は含まない。実態はなかなか見えにくいものの、シマンテックが一層直販比率を高めている可能性も高い。

BCNが今年8月に一般ユーザーを対象に実施した『セキュリティソフト利用実態調査』では、現在利用しているソフトのうち、直販サイトでの購入が39.8%と特に高く、店頭購入は21.1%にとどまったのがシマンテックだった。一方、家電量販店が多いのは、トレンドマイクロとソースネクスト。トレンドマイクロは41.2%、ソースネクストに至っては48.1%と半数近くを店頭購入が占めた。

やはり、シマンテックは直販サイトでの販売比率が他社に比べて高いとみるのが妥当だろう。とはいえ、コンシューマ市場では、売れている状況が見えやすく認知度の醸成に有利な店頭での販売は決して軽視できない。直販と店頭をどう使い分け、売上の最大化を達成するかが、セキュリティソフト市場での大きな課題といえるだろう。(信澤健太)