フルHDの4倍の解像度をもつ4K対応テレビの発売が相次いでいる。10月1日、国内最大の電機/ITの総合見本市「CEATEC JAPAN 2013」の会場では、「始動! 4K/8K時代」と題したパネルディスカッションが開催され、NHKやスカパーJSAT、メーカーが4K/8K放送に関する最新情報を発表した。

総務省などによれば4K/8K放送は、今年度中に試験放送を行う計画で、来年には4Kの本放送がスタートする予定だ。その2年後の2016年には、スーパーハイビジョンと呼ばれる超高精細映像の8Kによる本放送を開始。東京オリンピックが開催される20年には誰でも4K/8K放送を視聴できるよう、4K/8K対応テレビの普及を含めて視聴環境を整える計画になっている。

13年度中に実施する4K/8Kの試験放送は、スカパーJSATで行う。4K対応のカメラシステムや編集・制作システムで制作した4KコンテンツをHEVC 4Kエンコーダで圧縮。試験放送の段階では衛星にコンテンツを送信せず、多重化類似送信設備で送信する計画だ。本格的に放送がスタートすれば、圧縮した4Kコンテンツを124/128°CSデジタル放送プラットフォームでスクランブルをかけ、衛星に送信する。

スカパーの仁藤雅夫副社長は、「4K対応テレビは、広角画面によって引いた映像が楽しめる。特にサッカーや野球などのスポーツは、2Kでは不鮮明だった選手の表情を鮮明に見ることができる。フィールド全体を見ることができ、クロスプレーなどがわかりやすい。また超高画質によって、ゴルフ中継ではグリーンのアンジュレーションがよくわかるだろう」と4K/8Kコンテンツの魅力を語った。

NHK放送技術研究所からは、コンテンツを撮影するスーパーハイビジョン(8K)カメラについて説明があった。大きいもので約60Kgという重たいカメラを、今後改善を重ねて軽量化していく。撮影にも工夫が必要で、黒田徹副所長は「スポーツを撮影する際、2Kは選手にクローズアップしていたが、高精細な8Kは引きの映像でも選手の表情、仕草がわかる。観客席にいるかのような視点で撮るなど、撮り方が変わってくる」と話した。

4K/8Kの放送に向け、準備は着々と進んでいるが、どの圧縮方式に統一するか、チューナーはどうするかなど、技術的なところがまだ決まっていないという。今後、これらの課題を一つひとつクリアしながら、4K/8Kの試験放送に臨む。