1年間の充電期間を前に、劇団鹿殺しが新作『無休電車』を上演!

2013.10.2 18:12配信
劇団鹿殺し『無休電車』 劇団鹿殺し『無休電車』

劇団鹿殺しが、充電前公演と銘打つ新作『無休電車』を発表。9月27日、東京・青山円形劇場で幕を開けた。今年11月、演出の菜月チョビが新進芸術家海外研修制度によりカナダに留学することが決まり、本作をもって鹿殺しは1年間の充電期間に入る。

劇団鹿殺し『無休電車』チケット情報

鹿野工務店の社長で、かつて社員たちと「宝塚奇人歌劇団」を結成していた鹿野武。借金を抱え、泥酔した武は、ホームから転落し命を落としてしまう。そんな社長の葬式で、弔い公演を打とうと張りきる栗田寛ら劇団員たち。だが葬式の参列者には、「不謹慎だ」と一蹴されてしまう。工務店や劇団の将来が見えず、落ち込む寛。そんな彼の前に、懐かしい電車が姿を現して……。

2009年に同じく青山円形劇場で上演され、2010年にも再演された鹿殺しの代表作『電車は血で走る』。本作はその5年後を描くが、もちろん本作だけでも充分に楽しむことができる。物語の中心となるのは、“浪花三銃士”と自ら名乗り、大人物となり革命を成し遂げようとしていた高校生、武、寛、城戸秋生。さらに古澤という女性を加えた、過去と現在が交差する青春劇である。しかし作の丸尾丸一郎が描くのは、決して甘酸っぱい、キラキラとした青春ではない。鹿殺しの実体験も反映された、苦く、痛みをともなう青春である。

そんな彼らの前に現れるのが、楽隊によって表現された電車。そのレールは過去から現在、さらには未来へと続き、悩める人々を優しく運んでいく。そしてそこで奏でられる楽曲(音楽:入交星士、オレノグラフィティ)がまた魅力的。ロックテイストな楽曲もパワフルな鹿殺し作品にはぴったりだが、ノスタルジックな楽曲に乗せられた、菜月チョビの少年のような歌声は、青春時代を経た大人たちの胸に強く突き刺さる。

また宝塚奇人歌劇団に代表される、パフォーマンス(振付:山口加菜、山岸門人)も圧巻。いい意味での荒さが、鹿殺しにしかできないステージを生み出している。さらにゲストの福田転球、演劇集団キャラメルボックスの岡田達也、美津乃あわの奮起ぶりも鹿殺しならでは。3人のベテラン俳優たちが、汗だくになりながら演じ、踊り、歌う。その熱量は客席にも伝わり、ラストには劇場全体が鹿殺しの世界観に魅了されてしまっているのである。

上京から7年。鹿殺しはまさに“無休電車”状態で走り続けてきた。そんな彼らが1年間の充電を経て、さらなる飛躍を見せるのか。その1年後が待ち遠しくなる、充電前公演であった。公演は10月14日(月・祝)まで。チケット発売中。

取材・文:野上瑠美子

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