岸谷五朗 (ヘアメイク:菅野綾香(ENISHI) スタイリスト:ヤマモトヒロコ)   中村雅俊 (ヘアメイク:鈴木佐知 スタイリスト:笹岡典子)     撮影:源 賀津己 岸谷五朗 (ヘアメイク:菅野綾香(ENISHI) スタイリスト:ヤマモトヒロコ)  中村雅俊 (ヘアメイク:鈴木佐知 スタイリスト:笹岡典子) 撮影:源 賀津己

岸谷五朗、寺脇康文率いる演劇ユニット・地球ゴージャス。公演ごとにメンバーを集めるスタイルの彼らだが、2014年1月より上演される新作『クザリアーナの翼』でも風間俊介や山本裕典、宮澤佐江(SNH48)ら、多彩な出演者が揃う。なかでも、主宰ふたりの念願が叶い今回初出演を果たす中村雅俊と、そして作・演出を務める岸谷のふたりに話を訊いた。

地球ゴージャスプロデュース公演『クザリアーナの翼』チケット情報

中村が今回演じることとなる大帝QUASAR(クェーサー)は、彼にしかできない役だと岸谷は語る。「雅俊さんは、100本を超える作品で主演をなさっている。ベテラン俳優の方の中でも、ここまで主演作の多い方はそうそういないと思います。僕らに対しても雅俊さんはいつもフレンドリーに接してくださるけれど、その奥にこれだけの作品を背負ってきた重みがにじみ出ているんです。その重みというのは、稽古をして出せるものではない。革命をテーマとしたこの作品で、大きな権力をもつ大帝を演じられるのは雅俊さんしかいないと思ったんです」。その言葉に「そんな大したもんじゃないよ」と笑いながらも、中村は大帝という役どころに魅力を感じている様子。「確かに巨大な権力をもっている人間は、いろんなものを犠牲にしてきた歴史があるはず。それは、僕ら役者の生き方にも通じる部分があると思うんです。最初は芝居を志すただの学生だったのが、次第に芝居の喜びとともに上のポジションを狙おうとする野望も生まれてくる。トップに立てば、それを維持し続ける難しさと、そして孤独が生まれる。もしかしたら役者だけでなく、いろんな人に重ねられる部分があるかもしれない。面白い役だと思います」

これまではドラマや映画などで、またミュージシャンとしての活躍が印象深い中村。「文学座出身だけれど舞台経験は多くないですから、最初に声をかけてもらったときは驚きました。コンサートを通じて目の前のお客さんに接するという経験は重ねてきましたけど、やっぱり不安もありますよ。ただ、もしうまくいけばこれまで味わったことのない感動を得られる気がする」と期待を漏らす。一方岸谷は「現状に留まることをよしとせず、つねに前に進もうとする。その雅俊さんの姿勢に憧れますし、地球ゴージャスもそうでありたい。雅俊さんをはじめとするキャスト、スタッフ全員で新作を育てていきたいと思います」と決意を新たにしていた。

公演は2014年1月8日(水)から2月20日(木)まで東京・赤坂ACTシアター、2月26日(水)から3月1日(土)まで愛知県芸術劇場 大ホール、3月7日(金)から12日(水)まで福岡・キャナルシティ劇場、3月18日(火)から31日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。東京公演のチケット一般発売は10月5日(土)午前10時より。

取材・文:釣木文恵