限られた時間で最大限の体験をし、周りにも共有していきたい

「まだ、見たことがないものを見たい。」
「体験したことがないことをしたい。」
「デキそうなことよりも、デキるかどうか分からないことにチャレンジしたい。」

誰しも有限な時間しか持っていない以上、小野さんは出来る限りさまざまな体験をしたいと話します。では走ることについて、小野さんは何を成し遂げようとしているのでしょうか。

「今までとは違う自分に出会ってみたいんです。かつてない景色を見たり、境遇に追い込まれたり。あるいは新しい出逢いがあったり、自分自身と向い合ったり。そしてそこから得たものを、ブログや本、あるいは映像といったさまざまな形で、他の人にも共有していきたい。例えばこれまでならば、チャレンジから学べるものや他人への感謝、人との縁の大切さ、ポジティブな考え方がもたらすもの、自分の生きるべき生き方などですね。今回『マラソン中毒者』を書かせて頂いたのも、そういう思いがあります。そうすることで、いつか朽ちる身でありながら、未来に遺せるものを創っていきたいと思っています。」

走ることで未だ見ぬ何かを見る。体験する。そしてその得たものを、周囲へも発信・共有していきたい。まさに自分との戦いである『マラソン』を通じて、しかし自分だけではなく、他者に対する何かしらの貢献を目指されているという小野さんの思い。その確固たる思いがあるからこそ、どんな困難にも臆せずチャレンジしていけるのでしょう。
 

走ることに興味はあるものの、一歩踏み出せないビジネスマンへのメッセージ

最後に、走ることに興味を持ちつつも、一歩が踏み出せないというビジネスマンに向けてメッセージを頂きました。

「走ることは、あくまでツールです。走らなくとも、身近なところで自分が新たなチャレンジをするキッカケは日々ゴロゴロと転がっています。例えば英語を学んでみたり、会議で積極的に発言してみたり。大切なことは『自分のココロの羅針盤に従う』こと。少しでも興味を持ったことは『やってみたい』で終わらせず、たとえ小さくても具体的なアクションをしてみてください。その小さな一歩が積み重なって、将来が大きく動くかもしれません。まずは積極的に日頃からキッカケにアクションしてみることを進めれば、未来はもっと面白く、ワクワクに変わり得るのだと思います。」

走ることは、たまたま小野さんの選んだツールの1つ。ご本人も、恐らく走り始めた頃はこんな未来が展開されるなんて思っていなかったでしょう。お話を伺っているだけで、こちらまでワクワクしてくるようでした。
 


『マラソン中毒者(ジャンキー)』
著者:小野裕史、出版:文藝春秋社

“走る”フリーライター。スポーツを中心に、IT・WEBやビジネス関連などで執筆。「人生をアホほど楽しむ」がモットーのノマドワーカー。マラソンやトアイアスロンが趣味で、100km超のウルトラマラソンにも頻繁に出走。ときどき仮装ランナー。2児の子を持つイクメンとしても奮闘中。ナレッジ・リンクス(株)代表取締役。葛飾区堀切中学校・陸上部コーチ。1983年生。