『陽だまりの彼女』を手がけた三木孝浩監督

嵐の松本潤と上野樹里が共演した映画『陽だまりの彼女』が12日(土)から公開される。本作はファンタジックなラブストーリーだが、三木孝浩監督は「この映画は男の子にこそ観てほしい!」と力強く語る。その真意とは? 監督に話を聞いた。

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本作は、主人公は鉄道広告の営業をしている浩介と彼の中学時代の同級生・真緒が再会する場面から始まる。中学時代にイジメられっ子だった真緒と、彼女を守ってきた浩介は再会し、瞬く間に恋に落ちるが、真緒には誰にも知られていけない“不思議な秘密”があった。累計発行部数が100万部を突破している越谷オサムの同名小説の映画化した作品だ。

映画化に際し、脚本を手がけたのは、映画『時をかける少女』の菅野友恵と、『マイ・バック・ページ』など朋友・山下敦弘監督とタッグを組んできた向井康介。ふたりは浩介の視点で描かれた小説を、真緒や様々な人々の声や視点が混ざり合うドラマに脚色。真緒が抱える”不思議な秘密”の描かれ方も小説とは少し異なっている。しかし、三木監督は「最初から”秘密”がバレてしまってもいいかな、と思っていました」という。「原作を読んでいる人は最初から知っているし、察しのいい人は早い段階からわかるかもしれない。この映画で描かれる秘密は何にでも置き換えられるもので、 “障害があるふたりのラブストーリー”に見えればいいと思っていました」

しかし、劇中の浩介も多くの観客も真緒の秘密を知らない。そのため上野は表情や、ふとした仕草で、秘密を抱えた真緒を表現しなければならなかった。「セリフに頼ると陳腐になるんですけど、表情で見事に語ってくれました。樹里ちゃんの出ていた『虹の女神』がすごく好きで、あの映画で彼女が演じたキャタクターの“自分の想いを隠して接する”感じがすごくいいなと思っていたので、その部分は引き出したいと思いましたね」。対する浩介は、真緒のちょっとした行動や表情の変化に敏感に対応していく。「松本潤くんはアレンジの広さがある。これだけ達者な人が揃っている中で、ちゃんと相手に合わせつつ、浩介像はブレてない。主役の人はやはり受けの芝居がうまいんですよね。“器用”って場合によっては嫌われがちなんですけど、松本くんの器用さは嫌みを感じさせないんです」。

“記憶”が本作の大きなテーマだという三木監督は「素直になれなかった中学時代のささくれ感と、その想いを引っ張り続けている浩介が描きたかった」という。「だから、男性はハマりやすい映画だと思うんです。そこはすごく意識しましたし、本当に男性のみなさんに観てほしいんですよね。『中学生の時に感じたことをまだ引っ張ってるの?』って男子独特な気がします。きっと“俺のための映画”と思ってもらえると思います(笑)」。

『陽だまりの彼女』
10月12日(土)全国東宝系ロードショー