<家電激戦区を歩く・最終回>地域特性に合わせた戦略 一線を画したユニークさがカギ

2013.10.7 11:20配信

この連載では、これまで全国の主要都市で活躍する家電量販店を取材してきた。どの店舗も、地域特性に合った戦略でお客様を獲得し、収益を上げていく仕組みをつくっていた。最終回は、これらの店舗のなかから、とくに他店舗とは一線を画したユニークな取り組みを進めている店舗を選んで紹介しよう。(取材・文/佐相彰彦)

●エディオン広島本店(広島・広島市)

圧倒的な知名度

広島県広島市の繁華街、中区紙屋町にあるエディオン広島本店は、多くの広島市民から支持されている地域No.1店舗。エディオンの前身であるデオデオの本拠地とあって、圧倒的な知名度を誇る。そのエディオン広島本店が力を入れているのが、デモンストレーションの充実だ。

例えばホームベーカリーのコーナーでは、店内でつくったパンを試食できる。炊飯器のコーナーでも、炊いたご飯を試食できて、しかも各メーカーのモデルの食べ比べもできる。お客様に実際に体験(試食)してもらい、納得のうえで製品を購入してもらうというのが最大の目的だ。

店舗レイアウトにも工夫を凝らしている。ベンチやソファ、イスを設置しているだけでなく、コンセントとデスクがあるスペース、さらにはコーヒーを飲みながら談話できるサロンも設けている。また、デジタルカメラの撮影講座を開く教室や、料理教室を行うスタジオなども用意して、お客様に長時間滞在してもらう。店舗に何度も足を運んでもらう取り組みによって、固定客を確保している。

●ケーズデンキ水戸内原店(茨城・水戸市)

田園地帯を家電の街に

茨城県水戸市の家電量販店のなかで最も高いシェアを誇るのは、この地に本社を置くケーズデンキだ。旗艦店である水戸本店の接客は、地元住民だけでなく、メーカーなどの業界関係者が認めるほどレベルが高い。その水戸市で、ケーズデンキの第二の店舗としてオープンしたのが水戸内原店だ。

かつては田んぼが広がっていたJR内原駅近くにできた大型ショッピングモールのイオンモール水戸内原。そのすぐそばに店を構えるケーズデンキ水戸内原店には、イオンモールにやって来たお客様が家族連れで来店する。この客層に合わせて、例えば今年の夏は、店の入り口近くに小学生が自由研究などに活用できる水耕栽培器を展示したり、タブレット端末のデモコーナーを設けたりするなど、子どもが楽しめるように工夫を凝らしている。

また、クルマで来店し、大型商品でも持ち帰るお客様が多いことから、白物家電や薄型テレビの人気機種に関しては在庫を切らさないようにしているという。

ケーズデンキは、水戸市内で水戸本店が東部を、水戸内原店が西部を受けもつことで市全域を商圏にした。その意味で、水戸内原店は戦略的な店舗に位置づけられる。

●上新電機J&Pテクノランド(大阪・大阪市)

スタッフがお得意様をもつ

大阪市は、大阪(梅田)駅周辺のキタと、難波駅周辺のミナミが二大繁華街。キタにはヨドバシカメラ、ミナミにはヤマダ電機やビックカメラなどが旗艦店を構え、多くのお客様を獲得している。一方、かつて東京・秋葉原とともに電気街として隆盛を誇った日本橋のでんでんタウンは、いまやキタやミナミに客を奪われ、厳しい状況にある。

そんななかで、多くのお得意様を確保しているのがパソコン専門店としてスタートした上新電機J&Pテクノランドだ。すべてのスタッフが、個人でお得意様をもっている。初めて来店したお客様に対して、「今回は特別に」と安く販売するなど、お得意様を獲得する手法はスタッフによってさまざま。その数は1スタッフあたり2ケタに達するという。

品揃えは、パソコンや関連機器だけでなく、ロボットや機械工作関連の商品など、他店にはない商品で差異化を図り、外国観光客や学生の人気を得ている。また、多くの家電量販店がコーナーを縮小しているパソコンソフトも、1フロアを使って販売。大判プリンタやCAD高速プロッタなども揃えて、法人客を獲得している。

●ビックカメラ高崎東口店(群馬・高崎市)

スタッフに絶対的な信頼

群馬県高崎市のビックカメラ高崎東口店は、いわゆる“なじみ客”が多い店舗だ。情が厚いといわれている高崎に長く住む人は、ビックカメラ高崎東口店に絶対的な信頼を寄せている、デジタル機器や関連機器の購入を前提に、日常会話を楽しむために来店するお客様が多い店舗でもある。

売れ筋商品は、デジタルカメラ。もともとカメラ量販店なだけに、豊富な知識をもつスタッフが揃っている。お客様との会話のなかからデジタルカメラに求められる要素を抽出して、最適なモデルを提案する。さらには撮影法などもアドバイスして、信頼感を高めている。デジタルカメラの販売は、データを保存しておくパソコンや、画像編集ソフトの販売にもつながっている。

スタッフは30人強。勤続10年以上の中堅を核に、古くからのお客様に対応するベテランなど、ビックカメラのなかではスタッフの平均年齢が高い店舗だ。できるだけ接客時間を短くするという効率的な接客ではなく、ゆっくりと時間をかける接客によってお客様との信頼関係を築いていることが、他店との差異化につながっている。

●ヤマダ電機LABI1日本総本店池袋(東京・池袋)

一日中いても飽きない店舗

家電量販店市場のなかで国内2位の規模を誇る東京・池袋。ここでは、第二の創業地として1978年に進出したビックカメラが6店舗を出店しているほか、ヤマダ電機が国内最大級の約2万3000m2の売り場面積を誇るLABI1日本総本店池袋が店を構える。

三越百貨店池袋店の跡地に2009年10月にオープンしたLABI1日本総本店池袋は、全国でも屈指の大型店舗。三越の常連客だった主婦・高齢者層のほか、乳児を連れたファミリーの来店が多い。そのため、お客様にゆっくりと店内を回ってもらえるように通路を広くしている。一方、壁一面に多くの商品を陳列して、ほしい商品が必ず見つかる品揃えを実現。各フロアで主要商品のデモコーナーを設けているほか、乳幼児向け遊具施設「遊キッズ愛ランド」の設置など、一日中いても飽きない店舗にした。しかも、ヤマダ電機のポイントカードで食事が楽しめる九つの飲食店が出店するレストラン街もある。

接客では、「コンシェルジュ」というすべての分野に精通したスタッフを10人配置し、お客様の要望をしっかりと聞き、予算に応じた最適な商品を提案している。

●ヨドバシカメラマルチメディア仙台(宮城・仙台市)

駅前立地を最大限に活用

クルマ社会の宮城県仙台市で、JR仙台駅前を家電の街として市民に認識させたのが、ヨドバシカメラマルチメディア仙台の存在だ。ヨドバシカメラは、1991年に仙台に進出。以後、移転するたびに店舗を拡大してきた。昨年4月、駅東口に移転オープンした際は、売り場面積が移転前の2倍程度となる約1万5000m2、延床面積が約3万6100m2の大規模店となった。

商品点数も、約80万点と市内最大級。白物家電を中心にデモコーナーを充実させ、例えば掃除機コーナーではほぼ全機種を試すことができる。デジタル一眼レフカメラも、近隣の他店と比べて圧倒的な品揃えだ。しかも、カメラ量販店として知識が豊富なスタッフが揃っていることから、写真撮影が趣味の男性客で常に賑わっている。

接客では、お客様の話をきちんと聞くことを徹底。ちょっと引っ込み思案でスタッフに話しかけることが少ない仙台市民に、違和感をもたれない接客に力を注いでいる。

現在の売り場はまだ仮の姿。駅東口再開発の終了時には、延床面積が9万m2を超える地上5階建ての複合ビルのなかに入る予定だ。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年9月30日付 vol.1499より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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