『KAKAI 歌会』より。左から、今井清隆、樹里咲穂、和音美桜、原田優一 『KAKAI 歌会』より。左から、今井清隆、樹里咲穂、和音美桜、原田優一

出演と構成・演出を手がける原田優一に加え、今井清隆と樹里咲穂、さらに和音美桜というミュージカル界のトップスター4人で贈るエンターテイメント・ショー『KAKAI 歌会』。東京では今年2月に1日だけの開催となっていた、その待望の再演が、いよいよ名古屋と大阪で上演される。9月某日、和気あいあいとした空気が流れる稽古場を訪れた。

『KAKAI 歌会』チケット情報

ドアを開けると、歌うシーンでの振り付けを確認中の原田と樹里、和音の真剣な表情が飛び込んできた。数々の大作ミュージカルで名場面を残してきた彼らだけに、絶妙なハーモニーには思わずウットリ。ところが様子をうかがっていると、次第にコミカルな雰囲気に…? こちらの不思議そうな顔に気づいたのか、「遊んでいるわけじゃないんですよ(笑)」と原田が声をかけてくれた。そう、『レ・ミゼラブル』を始めとするミュージカルの名曲やJ-POP、さらには歌謡曲までを4人の美声で堪能できるのが本作の魅力だが、もうひとつの大きな魅力は、歌の間に垣間見せる笑い満載のやりとり。衣装も正統派のドレスから、なんと某アイドル風の制服、女装姿まで、硬軟が自在に散りばめられている印象だ。

そうこうするうちに音楽監督のYUKAが到着し、今井も加わって歌稽古がスタート。迫力の歌声に再び聞き惚れていると、コーナーはいつしか〈J-POPメドレー〉へ。こちらも、まさかのあの曲がジャジーなアレンジで歌われるなど、YUKAの編曲とキャスト4人ならではの豊かな歌唱力で魅せる。途中、樹里と和音のコント(!)が始まるひと幕もあり、樹里が「呼吸が大事やね」と呟けば、和音がオーバーアクションのダンスを披露するなど、予想外の展開に、取材班からも笑いが。一方、のんびりとした口調で合いの手を入れる今井の言葉に3人が爆笑するなど、チームワークの良さが伝わってきた。

「東京公演の時は、僕らも“どこまではっちゃけていいのかな”とまだ戸惑っている部分があったと思うんです。そのストッパーを、今回は外していきたい」と宣言した原田。樹里も「4人とも正統派のミュージカルに出ていますけど、この公演では“開けてはいけない箱を開けてしまった”感じがします(笑)。お客さんはいい意味で“裏切られた”と思うんじゃないかな」と話す。「キャスト自身の経験が反映されるのが、ショーの魅力。2月から8か月経ったことですし、より深みと密度を増したものをお見せしたい」と楽しそうに和音が話せば、「僕らが出演したミュージカルの名曲をミックスして聴けるのは、この公演ならでは。あとはただ、お客様には“リラックスして見に来てください”と言いたいですね」という今井の言葉にうなずく3人。キャストが高い実力を持つからこそ、観客は気持ちよく身を委ねられる。これはそんな貴重な舞台だ。

公演は、10月22日(火)愛知・名鉄ホール、10月25日(金)・26日(土)兵庫・あましんアルカイックホール・オクトにて。チケット発売中。

取材・文:佐藤さくら

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