『ゼロ・グラビティ』 (C)2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC

サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが共演する映画『ゼロ・グラビティ』が6日夜にマスコミと関係者に初披露された。観賞者は無重力(ゼロ・グラビティ)空間に観客を誘う圧倒的な映像に高い評価を寄せたが、人間ドラマとしても本作を評価しているようだ。

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本作の舞台は地上から600キロメートル上空。そこではスペースシャトルが地球を周回しており、メディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(ブロック)とベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(クルーニー)は船外でミッションを遂行していた。しかし、突発的な事故が発生し、ふたりは無重力空間に放り出される。ふたりは漆黒の闇の中で、地球との交信手段も絶たれ、酸素残量が2時間になってしまった状態から生還を試みる。

映画の冒頭。息をのむほど美しい地球が画面いっぱいに映し出され、画面奥からゆっくりとスペースシャトルが航行してくるファーストカットから観客は“無重力空間”に誘われる。アルフォンソ・キュアロン監督は意図的にワンカットを長くとり、観客がまるで宇宙空間にいるような映像を描き出す。映画が始まってすぐにトラブルが発生し、物語が結末を迎えるまでの91分間、一切の“休憩”や“中だるみ”がなく、全カットが圧倒的な映像美を誇っている。上映後には評論家や研究家から「どのように撮影したのかわからない」「デジタルを駆使していることはわかるが、メイキング映像が観たい」という声が挙がったそうで、“誰も味わったことがない映像体験”が観客を待っているようだ。

さらに本作を「人間ドラマとして完成度が高い」と評する声も多いという。本作の主人公ライアンは、初の宇宙飛行で、データ通信システムの故障原因を調査している途中でトラブルに遭遇し、宇宙空間に放り出される。彼女は専門的な知識を有し、出発前に訓練も受けたが、無重力空間を移動するのも、宇宙航空機器を操作するのも初めてだ。さらに彼女は心に深い傷を負っており、生きる希望を失いかけている女性であることがわかる。すべての悲しみを振り切るように仕事にまい進してきた彼女を突然、襲ったトラブルと“死”の恐怖。誰も話かける人間がいない空間の中で彼女が自身と向き合い、過去と向き合い、生きる希望を取り戻していくドラマは感動的だ。

本作はその映像美が強く印象に残るが、観賞した者からは「感動した」という声が多く挙がっているそうで、SFや宇宙に興味がうすい観客にもアピールできる作品に仕上がっているようだ。ちなみに本作は先週末4日(現地時間)から全米3575のスクリーンで公開され、週末3日間で約5600万ドルの興行収入を記録し、ボックス・オフィス・ランキングで1位を獲得している。

『ゼロ・グラビティ』
12月13日(金) 全国ロードショー
※3D/2D同時公開