つかイズムを継承する熱き名作の開幕に桐谷美玲が感激の涙!

2013.10.8 16:44配信
『飛龍伝21~殺戮の秋~』 『飛龍伝21~殺戮の秋~』

2010年に62歳で死去した劇作家、演出家・つかこうへいの人気作『飛龍伝』。全共闘40万人を率いるヒロイン・神林美智子役はこれまで、初代・富田靖子から6代目・黒木メイサまでフレッシュな若手女優たちによって演じられてきたが、同じつか作『新・幕末純情伝』で昨年初舞台を踏んだ桐谷美玲を7代目ヒロインに迎えた『飛龍伝21~殺戮の秋~』が10月5日夜、東京・青山劇場で開幕した。

『飛龍伝21 -殺戮の秋-』チケット情報

四国高松から上京し、東京大学理科Ⅲ類に入学した神林美智子(桐谷)。頭脳明晰である以外は普通の女子大生だった彼女が、全共闘作戦参謀・桂木潤一郎(中河内雅貴)と恋に落ち、40万人を率いる全共闘の委員長に祭り上げられる。時は1970年秋。11・26(11月26日)の国会前最終決戦を目前に桂木は、ある作戦を美智子に授ける。それは敵である警察庁機動隊隊長・山崎一平(神尾佑)の部屋へ彼女を、スパイとして“女”として送り込むことだった……。

開演前、『あの素晴しい愛をもう一度』『若者たち』など1960~1970年代の流行歌がBGMとして流れている。客席を見回すと、大半はキャストファンと思しき若者たち。イマを生きる彼らにあの時代の熱、つかこうへいの魂は伝わるのか。また桐谷はじめ生前のつかと交流のなかった者が大半の若いキャストが、己を偽ることなくこの熱い物語を体現することは可能なのか――。そんなことは杞憂であったのは開始数分でわかった。どのキャストも役と自らがぴたっと重なり合い、口先だけでない台詞を腹の底から吐き出している。セットのまるでない素舞台、衣装はほぼ稽古着のままといっていいジャージ姿。またメインの何人かを除いては役名が役者本人の名前(細貝圭は細貝役というように)というように、つか芝居ではその役者そのものが舞台で生きることが求められるのだ。

そのつかイズムの継承に大きな役割を果たしたと思われるのが、北区つかこうへい劇団出身の山崎役・神尾佑。つか直伝の熱く流れるような台詞回しで、なんとも愛おしい“男の純情”を体を張って魅せる。神尾の熱に引っ張られるように、若手も大健闘。中河内雅貴、細貝圭、橋本汰斗らが華やかなルックスと身体性を駆使しつつ、信じるもののために不器用に生きた男たちを魅力的に演じていた。そして彼ら男たちの憧憬の的であり、革命の象徴たる紅一点・桐谷美玲。華奢なルックスとは裏腹にどっしりとタフな内面を持ちカリスマ性にあふれる、新たな美智子像を生み出した。真っ白のフリルドレスに着替えたカーテンコールで、緊張の糸が切れたかのように涙ぐんだ桐谷。女優としてひと皮剥けたその姿に、役と作品のさらなる進化の予感があった。

公演は10月20日(日)まで。チケット発売中。

取材・文:武田吏都

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