『ダイアナ』を手がけたオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督

ナオミ・ワッツが36歳でこの世を去った元英国皇太子妃を演じた映画『ダイアナ』が18日(金)から公開される。本作の監督を務めたのは、『ヒトラー 最期の12日間』を手がけたオリヴァー・ヒルシュビーゲル。ドイツ人の彼は、元英国王妃ダイアナをどう捉え、どう描こうとしたのだろうか? 本人に話を聞いた。

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伝統や因習と戦い、愛や自由や信念のために生きた女性ダイアナ。彼女は“歴史を変えたプリンセス”と評されるが、一方でその功績を「過大評価だ」という声や、彼女の行動を非難・批判する声も多かった。ヒルシュビーゲル監督は「彼女は小さい時から普通のルールに準ずることを良しとせず、自分のやり方でやることを選んできました。息子たちの教育方針についても風当たりが強かったけれども、彼女は自分のやり方を突き通した。元来そういう資質があり、それが非難につながることもあったと思います」。

しかし、本作が描くのは“戦うダイアナ”だけではない。夫の不倫や王室との確執に悩み、夫と別居生活を送っているダイアナが自らの道を歩み始め、孤独や迷いの中で安らぎの場所を求めて彷徨う姿が描かれる。「ダイアナは、プリンセスの名声とその状況の被害者だったとも言えます。今回の映画はダイアナの最後の2年間を描いています。チャールズと離婚し、王室からはある程度自由になっているのですが、その自由をどこにどのように向けていいか分からない、新しい人生を見つけられていない状態でした。そんなとき、ハスナット・カーンという人物と出逢い、やっと真実の愛を見つけることができて、初めて自分が何をやりたいのかということを考え、再生につなげていった」

監督が語る通り、ダイアナはハスナットという医師と出逢い、大きな変化を遂げていく。「普遍的で古典的なラブストーリーでありながら、同時にひとりの女性の変化を描いています。ラブストーリーについてはある程度しかわからないので、わかっていることをベースに自分たちで想像をしました。それと併せて、ダイアナ妃の人生における、記憶に残るシーンを入れました。ドキュメンタリースタイルの中にエモーショナルな部分を入れることで、“愛”という一番大事な感情が引き立ったと思っています」

監督は、伝統やマスコミを相手に“戦う”ダイアナではなく、自身の内面と向き合い“変化する”ダイアナを描くことを選んだ。大きな歴史ドラマや再現ではなく、ひとりの女性の心の機微を繊細に描き出した本作を観客がどう評価するのか? 公開が楽しみだ。

『ダイアナ』
10月18日(金)より、TOHOシネマズ有楽座ほかにて全国ロードショー

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