そしてもうひとつ、本作で欠かすことの出来ないアイテムと言えば、千鶴の父親・雪村綱道が開発した、超人的な身体能力と治癒能力を引き出す変若水(おちみず)。土方もまた、劇中で変若水を飲んで“羅刹(らせつ)”と化すが、その副作用としてそれまでの美しい黒髪から、妖しさを漂わせる白髪に変身を遂げることに。特に物語終盤、白髪を振り乱しながら剣をふるう姿は圧巻の美しさである。
 

 

土方のみならず、沖田(廣瀬大介)に斎藤(松田 凌)、永倉新八(宮﨑秋人)に藤堂平助(池田純矢)、山南敬助(味方良介)、原田佐之助(小野健斗)、山崎 烝(河原田巧也)に新選組局長にして盟友・近藤 勇(井俣太良)ら新選組の仲間たちも充実のひとこと。キャストのほとんどが第一作からの続投組だけあって、激しい立ち回りやダンス、本シリーズを象徴する楽曲「ヤイサ!ヤイサ!ヤイサ!」などのシーンでもすっかり息の合った様子で同胞の空気を醸し出している。前作、前々作を見ているファンには嬉しい、シリーズのつながりを示す描写も散りばめられているのでこちらも要チェック。
 

そして土方の前に常に立ちはだかる宿敵の鬼・風間千景を『斎藤 一 篇』『沖田総司 篇』に続き鈴木勝吾が演じており、幾度となく土方や隊士たちと刃を交える。土方を倒すことのみに執心し、やがて一族から離れ、狂気すら帯びていくさまは敵ながらも胸キュン必至!? 特にクライマックス、『薄桜鬼』というタイトルにふさわしく、桜の花びらが舞い散る中での土方との最後の一騎打ちはシリーズ屈指の名シーンに仕上がっている。