『DREAM,A DREAM』稽古場より 『DREAM,A DREAM』稽古場より

まもなく誕生から100年を迎えようとしている宝塚歌劇団。世界でも珍しい女性だけのレビュー劇団であり、ここから巣立ち、日本を代表する女優となったスターも数知れず。そんな宝塚100周年へのオマージュを込めた〈TAKARAZUKA WAY TO 100th ANNIVERSARY〉シリーズのファイナルを飾る作品『DREAM,A DREAM』が10月12日(土)に開幕する。出演するのは元トップスター22名(一部は日替りゲスト出演)含め、すべて宝塚OGだ。彼女らが汗を流す、開幕目前の稽古場を取材した。

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稽古場に入ると、まずはスターたちの華やかなオーラに圧倒される。通常の宝塚の舞台ではトップは1組に男役・娘役1名ずつなので、トップ同士が共演する機会はほとんどない。そんなトップ経験者が並ぶ様は壮観で、現役のステージをも凌駕する豪華さだ。また上下関係が厳しいことでも知られる宝塚だが、この稽古場ではあまり世代の壁も感じさせず、和気藹々としている。舞台という同じ戦場で戦った同志的な空気が、どこか心地良い。

この日は初めての通し稽古とのことで、実際のステージ同様にプロローグからスタート。まず舞台上に描かれるのは、観劇を前に心浮き立つ観客の姿。それが次第に華やかなステージへと変貌を遂げていくさまは、宝塚を愛する観客をもひっくるめて“タカラヅカ”であると敬意を表しているようだ。そして、鳳蘭、峰さを理、剣幸、杜けあき、安寿ミラ、湖月わたる、彩輝なお、朝海ひかるといったトップスターたちがワンフレーズずつ歌い継ぎショーの開幕を告げる。スピーディに展開するダンスもビシっと決まり、“OG”という響きから想像される同窓会的ぬるさは一切ない、本気のショーだ。その後も怒涛のようにシーンは変わり、古き良き宝塚らしいパリのシーンから、様々な宝塚作品で使われているお馴染みのラテンナンバーなどが散りばめられていく。宝塚を象徴するラインダンスや背負い羽根も登場。中でも1幕ラスト、傑作ショー『ノバ・ボサ・ノバ』のナンバーは、観ているだけでも胸が熱くなること請け合いだ。

演出は、こちらも宝塚出身の演出家、荻田浩一。宝塚を、そしてスターたちを知り尽くした荻田の演出は、名ダンサーたちには存分に踊らせ、歌を得意としたスターたちには存分に歌わせる適材適所の演出で、スターの魅力を活かしていく。男役トップのみならず、初風諄、紫とも、星奈優里、彩乃かなみ、紫城るいといった娘役トップ経験者はやはり娘役らしい可憐さでもって、舞台を華やかに彩る。さらに未沙のえる、出雲綾ら数々の舞台を支えたバイプレイヤーひとりひとりにも見せ場はたっぷり。「この人のこういうシーンが観たかった!」と膝をうつシーンの連続、そして溢れる“タカラヅカ愛”。祝祭気分を大いに盛り上げるとともに、宝塚の良さを再認識させられるステージが誕生しそうだ。

公演は10月12日(土)から27日(日)に東京・東急シアターオーブ、11月2日(土)から17日(日)に大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。チケットはともに発売中。