アレクサンドル・ラザレフ (c)三浦興一 アレクサンドル・ラザレフ (c)三浦興一

日本フィルハーモニー交響楽団と首席指揮者アレクサンドル・ラザレフがロシア音楽の真髄に迫るシリーズ《ラザレフが刻むロシアの魂》。足かけ2年に渡ったシーズン1のラフマニノフに続いて、今秋より始まるシーズン2ではロシアが生んだ“異端の作曲家”スクリャービンを特集する。

《ラザレフが刻むロシアの魂 シーズン2 スクリャービン》の公演情報

ボリショイ劇場の音楽監督・首席指揮者などを歴任し、2008年から日本フィルの首席指揮者を務めるロシアの巨匠ラザレフ。ポスト就任直後にスタートしたプロコフィエフ交響曲全曲チクルスをはじめ、チャイコフスキー、ラフマニノフ、ショスタコーヴィチなどのロシア音楽で卓越した手腕を発揮。緻密かつ骨太な音楽作り、レパートリーの拡充を成し遂げ、各方面から高い評価を獲得してきた。巨匠に対する日本フィルの信頼も厚く、首席指揮者の任期は当初の3年から5年延長され、2016年7月までの計8年に及ぶ長期契約を結んでいる。

この名コンビの充実ぶりが、いま最も色濃く発揮されるシリーズといえば《ラザレフが刻むロシアの魂》だろう。10月からのシーズン2で満を持して取り上げるスクリャービンは、ロシア音楽史の中でもとりわけ異色を放つ作曲家。ニーチェ哲学や神智学の影響を強く受け、神秘主義思想に傾倒した彼の音楽は、色彩豊かで官能的陶酔へ誘う、独特の作風が特徴だ。特に調性音楽から脱却した後期は、神秘和音を特徴とする独自の境地を開拓し、前衛音楽の先駆けとしても国際的な評価を得た。

10月よりスタートする《ラザレフが刻むロシアの魂 シーズン2 スクリャービン》の初回に取り上げるのは「交響曲第3番《神聖なる詩》」。全3楽章の標題「闘争」「快楽」「神聖なる遊戯」はニーチェの超人哲学に触発されたといわれており、スクリャービンの神秘主義音楽の黎明期を象徴する作品だ。カップリングのチャイコフスキー、武満徹作品とともに魅惑のサウンドを堪能できるだろう。

《ラザレフが刻むロシアの魂 シーズン2 スクリャービン》は全3回公演を予定。初回は10月18日(金)・19日(土)にサントリーホールで開催。チケットは発売中。

第2回は2014年3月14日(金)・15日(土)開催で「ピアノ協奏曲」を、第3回は2014年5月30日(金)・31日(土)開催で「交響曲第5番《プロメテウス》」を取り上げる。

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