来日したニキ・ラウダ

伝説的な1976年のF1グランプリのチャンピオン争いの模様を映画化した『ラッシュ プライドと友情』の記者会見が10月11日、週末にF1日本グランプリの開催を控える鈴鹿サーキットで行われ、映画の主人公のひとりである元F1レーサーで3度のチャンピオンに輝いたニキ・ラウダが出席した。

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ニキとライバルのジェームス・ハントというタイプの異なる天才ドライバーの火花散る戦いを描いた本作。ポイントで先行していたニキはドイツGPで大ケガに見舞われるがわずか6週間で復帰を果たす。その間、ポイントをつめたハントとのチャンピオン争いは日本の富士スピードウェイでの最終戦に持ち越され…。

現在64歳のニキは非常勤でメルセデスAMGの会長を務めている。76年の事故のやけどの跡はいまも右耳から頭部にかけて残るが、元気な足取りで会見場に笑顔で登場した。完成した映画について「一人の観客として見ることができました」と語り「ずば抜けた映画だと思います。レースだけでなく2人の関係性、葛藤を描いています」と称える。

特に印象的なシーンとして、ドイツGPのクラッシュ後の病院のシーンを挙げ「生きるために戦っていたので当時は客観視できませんでしたが、周りの人間や妻が当時、どのように見ていたのかを初めて知りました」と語った。

チャンピオンの座を争ったハントは1993年に45歳で亡くなっているが「今日、ここにハントがいないのが寂しい。2人で映画を見てビールを飲みかわしたかった」とかつてのライバルの早逝を惜しんだ。それでも、現役当時の2人の関係について問われると「互いにリスペクトはしていましたが、友情ではありません。戦う相手ですからね」とも。

映画の中でニキは冷静で真面目なタイプ、ハントは女好きの男として描かれているが、ハントのプレイボーイぶりについてニキは「(映画より)もっとひどかったよ」と証言。「毎週、命を賭けてるから、みんな遊び方もすごかったよ。僕は1週間のうち日曜から水曜を楽しく過ごしたけど、彼は7日間遊んでたね」と懐かしそうに語った。

『ラッシュ プライドと友情』
2014年2月 TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー