シベリアの製法は?

さて、次にキニナルのはその製法だ。サンドイッチと同じように、三角に切ったカステラで羊羹を挟んだだけ、と思う人も多いようだが、どうやらそんな単純ではないようだ。

同店の場合は、

1、卵をたっぷり使ったカステラを焼く
2、自家製のさらしあん、砂糖、水、干天を混ぜ水羊羹を作る
3、水羊羹のあら熱をとったら、型に流し込む
4、冷めないうちに上にカステラを置いて重しを乗せる
5、固まったら型から外して切り分ける

といった工程で作られる。普通の菓子パンに比較すると手間も時間もかかる。それもシベリアが作られなくなった理由のひとつともいわれている。

ご主人の馬中さんいわく「羊羮が軟らかすぎるとカステラに染み込んでしまうし、硬すぎると、くっつかない。この加減が難しい」のだという。

1-1:厳選した材料を使ってカステラの生地を作って焼く

 

1-2:カステラの完成。中の水羊羹に合うように食感と色合いを調整しているという

 

2-1:さらしあん、砂糖、水、干天。これが水羊羹の材料

 

2-2:材料を混ぜて水羊羹を作る

 

3:あら熱を取った水羊羹をカステラの上に。このタイミングが肝心だという

 

4:冷めないうちに上にカステラを置く

 

5:切り分けて完成

 

型の関係で1日当りだいたい48個作るそうだが、「遠いところでは北海道からわざわざシベリア目当てのお客さんもいらっしゃいます。『懐かしい』『ずっと続けてください』と喜ばれると、製造をやめるわけにはいきません」と馬中さん。これから先、体力的にきつくなったら、他のパンをやめてもシベリアだけは作り続けたいという。

最後にシベリアをより美味しく食べるコツをお聞きしたところ「お茶か牛乳と一緒に食べるのが一番いい」とのこと。また、夏場は冷蔵庫で冷やすと水羊羹が冷えて、またひと味違うのだとか。

 

取材を終えて

「シベリア」は生まれた時代や育った地域で、「懐かしい」という人、「初めて知った」という人にはっきり分かれる。東京では今でも作っているパン屋がいくつかあるが、横浜市内ではおそらく「コティベーカリー」だけだろう。

同店の「シベリア」はカステラと水羊羹の味・色味・食感のバランスが絶妙だ。初めて食べる人でも、どこか懐かしい気分になるやさしい味わいがする。取材中も1年ぶりに来店したというお客さんが「(シベリアを)ずっと続けてください」と言ってうれしそうに購入していった。新しいスイーツが次々と生まれる時代だが、「コティベーカリー」のシベリアの味は、これから先も多くの人に愛され続けていくだろう。

 

※本記事は2012年1月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。

 
 

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