近年、着実にキャリアを重ねている注目の若手バリトン、大西宇宙。NYの名門ジュリアード音楽院の主催する声楽オーディションで最優秀賞を受賞して同学院に入学。在学中には《フィガロの結婚》や《エフゲニー・オネーギン》などに主要キャストとして抜擢されたほか、学内オーディションを経てリサイタル・デビューも飾った。

大西宇宙 リサイタル チケット情報

「多様性に富んだ複雑な文化的背景を持ち、世界中から才能が集まるアメリカでなら、様々な国のオペラを本格的に学べると思った。4年間で声楽専攻の日本人は結局、自分だけだったので英語力もかなり鍛えられました!」卒業後の欧州での足掛かりをドイツで模索していた頃、今度はシカゴ・リリック・オペラにスカウトされる。

「リリック・オペラは1954年の創設ですが、最初のシーズンにマリア・カラスが伝説的なアメリカ・デビューを果たして以来、数多くのスターを輩出してオペラ・ファンを魅了してきた。劇場が大きく、定番の人気作品から現代ものまでレパートリーも幅広い。スタッフや聴衆の耳も肥えているので鍛錬の場所としては最高です。基本はアンサンブル・キャストですが、カヴァー役も務めます。最初の大きな役はオネーギン。途中降板した歌手に変わって終幕だけの出演でしたが、それで信頼を得て、いろんな役をやらせて貰えるようになりました」

2015年には同歌劇場の世界初演オペラ《ベル・カント》に出演。1996年の在ペルー日本大使公邸占拠事件をヒントに書かれた小説を原作とする同作でペルー人神父を好演し称賛を得た。「主にスペイン語やラテン語歌唱の役ですが、日本人役のキャストの語学指導も担当しました(笑)」

大西は今年6月には日本でプレトニョフ指揮、ロシア・ナショナル管によるチャイコフスキーの歌劇《イオランタ》(演奏会形式)にロベルト公爵役で出演。その1週間後には待望の本格的なソロ・リサイタルにも臨む。

「チャイコフスキーのオペラでバリトンはいつもどこかクセのある役。イオランタの許嫁なのに別の女性に恋している公爵には情熱的なアリアなどもあって、とても魅力的なのでどうかご期待下さい。一方のリサイタルはアメリカでの8年に及ぶ修業時代の集大成になるようなプログラムを組みました。フランス歌曲からシェイクスピアのテキストによる英語の歌に、イタリアものからロシアものまで盛り沢山ですが、どれも想い入れのある作品ばかり。こちらもお楽しみに!」

ロシア・ナショナル管弦楽団の歌劇「イオランタ」は6月12日(火)に東京・サントリーホールにて。リサイタルは6月19日(火)に東京・浜離宮朝日ホールにて開催。チケットは3月25日(土)発売。

取材・文:東端哲也

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