NTTぷららは、10月21日、事業説明会を開催し、「マルチデバイスでのサービス利用促進」と「コンテンツの拡充」に力を入れ、スマートテレビの普及・拡大を目指す事業方針を発表した。

●スマートTVを拡大・普及するための新戦略

光回線の「フレッツ光」利用者向けの映像配信サービス「ひかりTV」は、映画や音楽、ドラマ、アニメなどを80以上の専門チャンネルで楽しめるテレビサービスや、3万本以上のコンテンツを視聴できるビデオサービスを提供している。現在は映像だけでなく、ゲームや音楽、電子書籍など新たな分野での配信サービスにも力を入れている。

説明会の冒頭、板東浩二社長は「2013年9月末で『ひかりTV』の会員は263万人に達し、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスは連続ドラマやアニメなどのシリーズものを中心に好調だ」と現状を説明。一方で、「光回線の新規契約の伸びが鈍化するなかで、『ひかりTV』もその影響を受けはじめている」と課題を指摘し、「今後は『サービスのマルチデバイス展開』と『コンテンツの拡充』によって、スマートテレビのさらなる普及を目指したい」と方針を語った。

●映像サービスでマルチデバイス展開を加速

スマートフォンやPCユーザーが利用しやすいサービスを目指して、映像サービスでさまざまなマルチデバイス展開を実施する。第一弾として、NHKオンデマンドの単品と月額見放題パックがPC・スマートフォン・タブレット端末で視聴できるサービスを開始する。10月28日から、「あまちゃん」などの人気作品から順次提供する。

11月には、家庭内LANでのテレビサービスのマルチデバイス展開を開始。DLNA/DTCP-IP対応のテレビ・PC・タブレット端末・スマートフォンで放送チャンネルを視聴できる。テレビで記録した番組を、他のデバイスで追っかけ再生する機能も搭載する。利用にはスマートテレビ対応のチューナー「ST-3200」が必要。

また、スマートフォンやタブレット端末でVODをダウンロード視聴する機能を2014年1月に提供する。飛行機などデータ通信が利用できない環境でも、快適にコンテンツを楽しむことができる。追加料金は不要。

●ゲームやECサービスもマルチデバイスに対応

6月にスタートしたクラウドゲーム「ひかりTVゲーム」は、11月にモバイル端末に対応。動作処理はクラウドで行うので、テレビと同等の快適さでゲームを楽しむことができる。

モバイル端末向けのモバイル端末向けのECサービスとして、動画を扱うことができる電子カタログサービスを年内に提供。地方自治体や専門誌を発行している出版社をターゲットにして、「ひかりTV」でのショッピング利用に結びつける。カタログは、専用アプリから「ひかりTV」を契約していない人でも利用することができ、カタログのページから直接購入することができる。

●オリジナルコンテンツやクリエーター支援でコンテンツを拡充

10月25日には、「ひかりTV」初のオリジナルドラマ「24時間女優」を「ひかりチャンネル1」とVODで提供。実力派若手女優と有名映像監督が毎回異なるペアを組み、24時間の時間制限のなかで短編ドラマを撮影する企画だ。全8回、各話30分の配信を予定している。また、11月10日には「AKBドラフト会議」を完全生中継。翌日からは、ドラフト会議の模様や候補者のドキュメンタリー番組をVODで放映する。

また、11月4日、「ひかりTVチャンネル3」でNHKのニュース番組や情報番組を英語で提供する「NHKワールドTV」の24時間放送を開始する。全国エリアでの放送は、「ひかりTV」が初めての取り組み。日本在住の外国人の視聴や、英語教材としての利用を想定している。

また、NTTぷららが協賛している大田区の町工場で国産ボブスレーの開発に取り組む「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」の4K配信を進行中。4K映像のVOD配信に対応するチューナーの開発にも着手し、2014年7月頃に4K-IP放送のトライアルを予定している。

コンテンツ制作では、HALなどのゲームクリエーター教育機関と提携し、学生が制作したコンテンツを「ひかりTV」で無料で提供。人気作品にはクラウドファンディングで資金を提供し、商用化する予定だ。第一弾として、ゲーム分野での支援を実施し、今後は映像や商品開発への支援を検討している。