3月2日に東京・赤坂にオープンした「ASUS Store Akasaka」

ASUSの日本初の直営店「ASUS Store Akasaka」が3月2日に東京・赤坂にオープンした。休業日は年末年始で、営業時間は10~20時(最終受付19時)。ファン待望の公式ストアの雰囲気や狙いを、メディア向けの内覧会とオープン当日の取材をもとにレポートしたい。

世界初! サポートと販売を一体化

「ASUS Store Akasaka」の最大の特徴は、ASUS製品の「サポート」と「販売」の両方の機能を備えることだ。これはASUSとして世界初の試みとなる。

まず、「サポート」についてだが、対面のサポート窓口は4箇所。15分を1コマとして、専任スタッフが困りごとをヒアリングし、最適な対処方法を提案する。対象となるデバイスは、同社のノートPC、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ(ZenWatch)。来店客はWebで事前にサポートの時間帯を予約することで、待ち時間なくスムーズにサポートを受けることができる。もちろん予約なしで来店して、その場で空いている枠でサポートを申し込むことが可能だ。

バックヤードには、既存の修理センターと同等の設備を備え、割れたディスプレイの補修やバッテリの交換にとどまらない幅広い修理内容をカバーする。修理にかかる日数は原則3日だが、保証期間内のZenFoneシリーズ製品であれば1時間以内で対応するなど、ケースによっては即日持ち帰ることもできる。

「販売」は、店内に陳列する「ZenFone」や「ZenPad」「ZenBook」など、人気シリーズの最新端末が対象で、これまで購入前に触れる機会がなかったオフィシャルWebストア限定モデルの実機があるのもファンにはうれしい。また、各種の周辺機器が充実しているのも特徴だ。ここまでの品数が揃っているのは、直販店ならではだろう。

サポートと販売の一体化には、顧客との接触機会を最大限に高める狙いがある。例えば、修理の料金が思ったより高かった場合、販売機能があれば新規端末の購入に切り替えて提案することができる。顧客からしても選択肢が増え、専任スタッフ立ち会いのもとで検討する機会が得られるのはメリットだ。

あえての「赤坂」 顧客目線で決断

意外に感じた「赤坂」という立地にもきちんとした理由がある。ASUS JAPANのエミリー・ルー社長によると「たくさんの人を集めるという目的ならターミナル駅を選ぶべきだが、今回のストアはお客様にリラックスした空間でサポートを受けてもらえることを重視した」とのこと。ストアの設計にもこだわりがあり、曲線と直線を組み合わせた“禅”をイメージした店内は、ラグジュアリーでありながら落ちついた雰囲気が漂う。

駅からのアクセスも申し分ない。店舗は丸の内線・銀座線が走る「赤坂見附」、有楽町線・半蔵門線・南北線が走る「永田町」、千代田線が走る「赤坂」から徒歩数分圏内。記者は「赤坂見附」から来店したが、地図で確認しなくとも、すぐ発見することができた。

赤坂は海外のビジネスマンや観光客が多く訪れる街でもある。ASUSのデバイスはグロバールサポートに対応しており、「ASUS Store Akasaka」はこうしたユーザーにとっての頼れる拠点にもなる。多角的にユーザーの心理や利便性を考慮した結果、「赤坂」という選択に至ったわけだ。

ジョニー・シー会長も期待 キーワードは「コネクト」

オープン当日のセレモニーには、来日したジョニー・シー会長も参加。ストアの門出を祝福した。「日本のお客様の品質に対する基準は世界一。日本で認められれば、どこの国でも通用する」。ジョニー会長はこれまでの新端末の発表会でも日本の品質基準について繰り返し発言してきたが、これはサポートと販売が一体化したストアの1号店に日本を選んだ理由にもあてはまる。本国に先駆けてということもあり、セレモニーには多くの台湾メディアも押しかけていた。

ジョニー・シー会長がストアのキーワードに挙げたのは「コネクト」だ。「端末を手に取っていただいたのもご縁。お客様と長くつながっていくためにも対面で安心や魅力を発信していきたい」と目指すべき方向性を示した。

ストアにはイベントを開催するスペースもあり、今後はさまざまな催しも企画していくという。まだ次の出店は決まっていないが「赤坂の店舗を仕上げて、そのノウハウを広げていきたい」と店舗拡大にも意欲的。ASUSの次なる戦略が生まれる重要拠点として、その取り組みに注目していきたい。(BCN・大蔵 大輔)

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