ヤーマンのブランド戦略本部 プロモーション企画室 萩本有佳氏に母の日商戦に役立つ提案のコツを聞いた

ここ数年で、理美容家電が女性向けのプレゼントとして定番化したのは、性能や使い勝手の向上だけでなく、女性から避けられることも多い「家電」というカテゴリを化粧品のような「美容アイテム」として認知させたことが大きい。それゆえ、提案は他の家電カテゴリとは少し切り口を変える必要がある。「美容家電の提案はプレゼントする側の目線で考えると正解が見つかりやすい」と語るのはヤーマンのブランド戦略本部 プロモーション企画室 萩本有佳氏。母の日商戦で役立つ提案のコツとターゲット別のおすすめ商材を教えてくれた。

贈る側の思惑を読む 性別の違いで差

ギフトは「相手にいかに喜ばれるか」が前提だが、購入する立場からすると実際はいろいろな思惑があるものだ。「女性であれば一緒に使いたいという方も多い」と萩本氏はプレゼントする側の気持ちを代弁する。ヤーマンの美容家電はアンチエイジングを目的にしているので、女性であれば年齢を問わず関心が高い。美容家電は母親も喜び、かつ自分の興味も満たせる一石二鳥の選択というわけだ。

プレゼントするのが男性の場合だと、事情はまた変わってくる。「ドライヤーのような誰でも使えるカテゴリの製品は人気が高い。また機能よりも“1番売れている”など、分かりやすいフレーズで伝えたほうが納得してもらいやすい」(萩本氏)。たしかに美容家電に馴染みのない男性であれば、具体的な機能や効果はあまりピンとこない。もらった相手にいかに喜んでもらえるか、メッセージするほうが購入意欲を刺激できそうだ。

マッサージ需要は年代問わず 新社会人でも手が届く手頃感

こうした売り方のコツを踏まえた上で、今回は二つのシーンでヤーマンがおすすめする母の日ギフトを紹介してもらった。一つめは「新社会人が初めての給料で母親(40~50代)にプレゼントする」というシーン。萩本氏がおすすめするのは、頭皮ケアができる「スカルプドライヤー」と防水仕様の頭皮ケアマシン「アセチノヘッドスパリフト」だ。

「スカルプドライヤー」はもともと男性用美容家電として売り出したが、頭皮ケアという目的は女性にもニーズがあり、性別問わず人気のアイテムに育っているという。カラーはもともとブロンズをラインアップしていたが、現在はパールホワイトに切り替えて販売している。「発売後に高価格のドライヤーがブームになったことで、1万8000円前後という価格に、むしろ手頃感をもっていただけるようになった」と萩本氏。頭皮を温めながらのもみほぐしは、マッサージ機器としても優秀なので、よりお得な印象を伝えやすい。

「アセチノヘッドスパリフト」は、1万3000円前後という新社会人の初任給でも購入しやすい価格が魅力だ。人間の指の感触や動きを再現しており、しっかりと筋肉をグリップしてもみほぐすのが特徴。頭皮を刺激するのがメインの使い方だが、フェイス用アタッチメントを付属し、顔のリフトアップにも効果的。防水仕様なので、お風呂でのリラックスタイムに使えるのもうれしいポイントだ。

“時短”で伝えるメッセージ 心理面

二つめのシーンは「男性が自分の妻にプレゼント」というシーン。最近では子育てに奮闘する妻に母の日のギフトを贈る需要も出てきている。萩本氏がこのパターンでキーワードに挙げるのが“時短”だ。「せっかく美容家電を購入しても、ケアする時間がないという悩みはよく耳にする。ヤーマンの美容家電は、短時間でどこでもケアができるという点で、支持されている」。

具体的な例として紹介してもらったのは、「RF Beaute フォトPLUS」だ。コンパクトながら、エステサロンの業務用機器に匹敵する機能を凝縮しており、ヤーマンの製品の中でも、とくに人気の高い美顔器だ。

一連の肌ケアで使用できるモードを五つ備える「RF Beaute フォトPLUS」だが、それぞれのモードにかかる時間は3分程度。「毎回、すべてのモードを通す必要はない。忙しい朝のメイク前に部分的に肌をケアするという使い方もあり」とのことで、時短のアピールはしやすい。プレゼントする側としても、ただ単に相手の美容を気にかけているだけでなく、日々の多忙を理解していることが伝えられるだろう。

キャビテーション美容器「RF Beaute キャビスパRFコア」も時短を切り口におすすめしやすいアイテムだ。エステサロンで人気のキャビテーション機能を備え、超音波で肌の深部を振動させて体の脂肪を減らす。腹筋ベルトでも採用されている低周波EMSで筋肉を刺激する機能も搭載している。

多忙だとエステに行く時間はないし、たまの休みでも予約がとれないことも多いが、「RF Beaute キャビスパRFコア」なら、自宅で手軽に繰り返しキャビテーションを行うことができる。また、「ダイエット機器を欲しいと思っている女性は多いが、プレゼントとしてもらうのは直接的すぎる。美容家電という形であれば贈りやすいし、受け取りやすい」と萩本氏。心理面でもギフトに最適な製品といえそうだ。

家電量販店で売り場が拡大している美容家電だが、販売員は機能の説明に四苦八苦しているケースも多い。販売員自身がそれぞれの製品の機能を把握していることはもちろん大事だが、萩本氏の話を総合すると、顧客ごとにストーリーを組み立てることこそが、顧客の腑に落ちる提案につながりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)

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