果物や弁当など、個体ごとの外観が異なる商品もまとめて認識可能

NECは、スーパーマーケットのレジなどで応用可能な、小売商品向けの物体認識技術を開発した。従来の画像認識ソフトウェアにディープラーニング技術を加えることで、野菜などの生鮮食料品も自動的に認識することが可能になった。3月9日まで開催された展示会「リテールテックJAPAN 2018」に参考出展した。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアの一部では、店舗業務の省力化や人手不足への対応を目的としてセルフレジが導入されているが、顧客自らが商品登録を行う場合、レジ操作に慣れた店員に比べて時間がかかるという問題があった。NECが今回開発した「多種物体認識技術」を用いると、商品をテーブル上に置くだけで、並びが雑然としていても個々の商品を認識し、一度で商品登録が完了する。

同社ではこれまでもレジでの導入を想定した画像認識技術の開発に取り組んでいたが、これまで用いていた「特徴点マッチング」と呼ぶ技術は、工業的に生産されたパッケージ商品の認識には適していたが、野菜や果物のようなひとつひとつの外観が異なる商品の認識が難しかった。従来の技術にディープラーニングを加え、形状や色などの特徴をコンピュータが自ら学習することで、自然物から工業物まで幅広い商品の認識が可能となった。

そのほか、リテールテックJAPANのNECブースでは、ロボットやドローンを利用した流通業向けの業務支援システムが展示された。ロボットによる商品補充支援システムでは、ロボットが走行しながら商品陳列棚を撮影し、品切れが発見されるとバックヤードでは別のロボットが補充すべき商品をピッキングする。

倉庫内でのドローン活用では、ドローンが倉庫内を飛行しながら動画を撮影し、箱に貼り付けられたカラーコードをもとに在庫の位置を認識する。定期的にドローンを飛ばすことで、置き場所が変わっても在庫の位置を把握しつづけることが可能だという。

また、同社がかねて取り組んでいる顔認証技術を応用した「顔パス」決済によるショッピングのデモが行われたほか、自治体や特定地域に強いサービス業者などでの導入を想定した、複数のシェアリングサービスを一つのシステムで提供できるサービス基盤などが出展された。