『チュクヒャン』のチョンボッチュク(アワビがゆ)「普通」。15000ウォンアワビの身が多い「特」は20000ウォン

海山の食材が豊かで、昔から料理文化が発達している全羅道の北部にある全州を旅したとき、郊外で大変魅力的なバイキングレストランに出会い、さすがは食の都と感動した。

今回はそのレストラン+ソウルの体にやさしい食べ物を3品紹介しよう。

ローカルフードのバイキング(全羅北道・完州)

3×3のプレートが用意されているので、おかず選びが楽しい『ハッピー・ステーション母岳店』

不覚にもその日は重度の二日酔いだった。正直、何も食べずに横になっていたかったが、このレストランで、ためいきをつきながら水キムチのスープをすすっていたら、暗い海に朝日がさすように、少しずつ食欲がわいてきた。

3×3に仕切られたプレートを片手に、長いテーブルに並べられた豊富なおかずのなかから野菜を中心に少しずつ盛り付ける。

サツマイモ、ホウレンソウ、カボチャ、キキョウ、ブロッコリー、エリンギ……。生だったり、茹でてあったり、焼いてあったり、野菜ごとに調理の仕方と味付けがちがう。鮮度がいいせいか、食感のちがいも際立っている。

都会で暮らし、スーパーで売っているものばかり食べていると、野菜なんてみな同じ味などと思いがちな己の不明を恥じる。

ふむふむと関心ながら食べていると、タンパク質がほしくなってきた。豚肉に手を出す。さっきまで肉なんか当分食べたくないと思っていたのに、脂身まで美味しく感じられる。

少し脂っこいものを食べたら辛いものがほしくなったので、濃いだいだい色のキムチチゲをよそう。うわあ、キムチの酸味に口中が唾液であふれる。ごはんがほしい。いや、麺も捨てがたい。

デザートまでいただき、結局おなかいっぱい食べてしまった。

「えっ! これで12000ウォン!!」

元気が出てきた。

「風邪なんて食べて治せ」「二日酔いなんて食べて治せ」。若いころによく聞いた年輩の人たちの言葉を思い出した。

二日酔いの鬱々とした気分もどこへやら。今夜の酒席を想像して喉が鳴った。

ハッピー・ステーション母岳店
全羅北道完州郡クイ面母岳山ギル95 TEL:063-1600-0125
11:30~15:00 17:00~20:00(12月~2月は昼間のみ営業) 無休

※取材協力/全羅北道・国際協力課

コンビジ(ソウル)

『カンサノク』のコンビジ定食7000ウォン。6月~8月のみ食べられるコンククス(豆乳スープに入った麺)は7500ウォン

ランチタイムは混むので、少し時間をずらして行くといいだろう。11時半の開店と同時か、13時過ぎ。営業時間が極端に短いのは、ていねいな仕事をしたいからだと推察する。

冬場のメニューはコンビジ定食のみ。コンビジとはおから(大豆から豆腐や豆乳を作るときにできる搾りかす)のこと。

日本では卯の花(うのはな)の材料として知られているだろう。韓国では似たものをそのまま食べたり、辛く味付けした鍋ものとして食べたりする。食物繊維が豊富なので、便秘解消効果が期待できるとして女性に人気がある。

筆者は朝まで飲んでおなかが空いたときによく利用する。韓国人は二日酔いの朝、辛いものを食べることが多いのだが、あれは気つけにつはなっても、体にはよくないのではないかといつも思っている。

その点、この店のコンビジなら安心だ。大豆のほのかに甘い匂いがふわっとする。筆者はそのまま食べるのが好きだが、もちろん醤油ダレにつけて食べてもいい。

カンサノク
中区清渓川路196-1 TEL:02-2273-1591

11:30~15:00(入店は14:00までに) 日曜休(8月1日~20日は休業、1月いっぱいは休業)

ドゥルケ・シレギクッ(ソウル)

『シレコッ』のドゥルケ・シレギクッ7000ウォン

前項でコンビジ(おから)は二日酔いによさそうだと書いたが、この店のドゥルケ・シレギクッというスープも同じだ。二日酔いによいということは体にやさしいということである。

ドゥルケとはエゴマの実のこと、シレギはダイコンの干し葉、クッはスープだ。

韓国ではエゴマの実や油は一般的な食材で、鍋やカルククスなどの麺のスープにもよく使われる。美肌効果や肝機能強化が期待できるという。体にいいにこしたことはないが、香りが上品で料理を美味しく仕上げる妙薬だ。

この店のエゴマのスープには大根の干し葉がたっぷり入る。大量のキムチ漬けが行われる冬、カクトゥギ用のダイコンをキムチにすると大量の葉っぱが出る。それを干してスープやナムルにするのは、昔からの韓国人の知恵なのだ。

味噌も控えめで唐辛子も使われていないので、誰でも楽しめる。店の雰囲気は女性向けだが、男性にもおすすめだ。

シレコッ
鍾路区堅志洞95 TEL:02-733-1156 9:00~22:00 日曜休