「裏・渋谷系」代表みたいに紹介されるなんて、夢にも思わなかった

アーバンギャルド・瀬々信(G)

松永:三題話みたいですが、今は常に身体性が問い直されている時代ですよね。そこから「テクノポップ」の話に移りたいと思います。

10年前くらいにPerfumeがブレイクした時期に、「テクノポップブームが再来!」的に新聞なんかのお父さん向けの記事で扱われていたりしたんです。当時テクノポップというのは80年代前半のYMOやヒカシュー、つまり一部の人たちの懐メロだったんですよそれで確か最初は雑誌MARQUEEが「フューチャーポップ」という言い方をしていたのかな。

あの時期に出てきて、オタク・サブカル文化でもてはやされたものって、Perfumeと初音ミクと相対性理論ですよね。この3つは全部それまでの身体性を問い直すものだと思うんです。

Perfumeもライブでは口パクだけど、それをダンスと最新鋭のステージ技術を持ってカバーする。相対性理論もインディーロックっぽい音の上に違和感のある萌え声がのっていることが新しかった。初音ミクはそもそも肉体がない。その流れなのか、一番最初にアーバンギャルドが全国流通をしたときのタワレコのポップに「裏相対性理論・裏Perfume」と書いてあったんです

瀬々:書いてあったね~! まさかアーバンギャルドが裏・渋谷系代表みたいに紹介されるなんて夢にも思わなかったよ。当時は何も意識しないで作品を作っていたからちょっと予想外の結果だったよね。普通にアーバンギャルドは2000年代渋谷系かと思っていたよ。

松永当時の我々的には意外な感じがしたんですが。今思い返すとアーバンギャルドってサウンドの激しさに対して浜崎さんの繊細な声が乗っているというのは、当時としては新しいアンサンブルだったのではないでしょうか。身体性が伴ってないわけじゃないけど今までの身体性とは全然違う。

浜崎:余談ですけど、私、ボーカロイドに声質が似てるらしいんですよ。オートチューンがかからないみたいで(笑)。

松永:最初は苦労したよね。

浜崎:今も苦労してますけどね! アーバンギャルドの曲って人間が歌うものじゃないですよ!

松永:まぁまぁ。浜崎さんの声質をそのまま活かしながら力強いサウンドがあって、力強いドラムがあって、みたいな。バランスを取るのに本当に苦労しました。

浜崎:今も苦労してますよ!

――2回目です。

浜崎10年活動してきて、自分たちも人並みに売れたくて、時代に迎合しようと試行錯誤した時期があったんですよ。それに振り回されすぎて疲れたというのもあります。そんな時期を経て、やっぱり自分たちの本当にやりたいことをやりたいなという気持ちになったのが今回のアルバムなんですよ。

例えば「こういうサウンドが流行っているから入れよう」とか「こういう表現が流行っているから入れよう」みたいな、そういうのをほんのりアーバン風に解釈してっていう、その試行錯誤を繰り返してきて……、疲れちゃった!

松永:ふふふ。

浜崎:要するに、そんなことをしても売れなかったんですよ!

――迎合しようとしていた時期があったんですか。

浜崎:ありましたよ。

松永:いや僕はそんな気持ちはなかったけど。

浜崎:天馬が一番迎合してた!

瀬々:わりとね!

松永:ええ〜。

――それはどういった面で?

浜崎:たとえばライブにドラムを入れる入れないだとか、ちょっとロックフェス、ロキノン系サウンドに行きたいとか……あったんですよ。もちろんやりたいことをやってた部分もありますけど、言い方が悪いですけど、「一般受け」を狙おうとしたこともあったんです。今回のアルバムは自分たちだけで作ってる部分がすごく大きくて。それってインディーズとかで最初でやってた頃の感覚と同じなんですよ。

――原点回帰的な。

浜崎:だから率直に言うとこの10年、「疲れた」というのが私の中で一番大きいです。疲れました! 良い意味でも悪い意味でも「諦めた」というところですね。絶望してるんですよ世の中に、ははははは。

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