忘れてはいけない、たった一つのこと

「その既婚男性と肉体関係を持ちたいと思う?」と正面から質問すると、Aさんは「それは」と言い淀んだ後で「まだそこまでは想像できないですね」と小さな声で答えました。

それが本心かどうかはともかく、そこに進む勇気がないのなら、今のうちに恋愛感情をこれ以上育てない方向に決めるのが最善といえます。

彼氏との現状はどうかというと変わらず交際は順調で、ベッドで過ごすこともAさんに「抵抗はありません」。

苦しいのは「ひとりになると既婚の彼に連絡したくなる自分」で、それは彼氏といるときとは違う刺激がほしいから。

相手も自分に対して好意がある、と実感すれば、安易にコンタクトを取り仲を深めることを望みます。

ですが、そんなことを繰り返していればいずれ彼氏に向ける関心が下がり、既婚の彼とこっそりと秘密の時間を楽しむ自分を避けられません。

考えないといけないのは相手は既婚者である事実で、その男性は「配偶者がいるのに独身の女性と恋愛関係のような密なつながりを求めている」こと。

仕事中どれだけ真面目で有能に見えても、彼氏がいるとわかっている独身の女性とふたりきりの食事を提案する姿が、果たして誠実と言えるでしょうか。

「仕事の延長」ではなくプライベートな時間での提案であり、そこに下心がないとは限りません。

一度そんな時間を持てば次はもっと誘うハードルが下がり、ふたりきりの時間が増えることは想像できます。

Aさんは、この提案にその場でうなずいてしまった自分への罪悪感も持っていました。