<地域No.1店舗の売れる秘訣・ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba>誰もが訪れる街・秋葉原の象徴 全国屈指の品揃えと質の高い接客

2013.10.28 11:33配信

昭和の時代、東京・秋葉原は日本の成長を象徴する電気街だった。1990年代はパソコン、2000年頃からはアニメやゲーム、音楽・映像ソフトの店が多くなり、いわゆるオタク文化の聖地になった。それが今、再び誰もが気軽に訪れる街に戻りつつある。その原動力となっているのが、駅前の再開発と、2005年にオープンしたヨドバシカメラ マルチメディアAkibaだ。全国屈指の大型店舗として、多くの品揃えで幅広い層を集客。接客も全国トップレベルとの評価があるマルチメディアAkibaの地域No.1のゆえんを探る。(取材・文/佐相彰彦)

ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba

店舗データ

住所 東京都千代田区神田花岡町1-1

売り場面積 約2万2500m2(テナント除く)

駐車場 約520台収容

従業員 約550人(社員)

●幅広いニーズに応える総合店舗 電気街とは「共存」の関係

東京・秋葉原は、電気街だけでなく、ベンチャー企業やITベンダーが入る秋葉原クロスフィールドなどがあって、「世界に発信するIT集積地」をコンセプトに発展を続けている。電気街には、パソコンや組み立てパーツの専門店だけでなく、アニメやフィギュアなどサブカルチャーの店舗も軒を連ねる。秋葉原クロスフィールドでは、デジタル機器関連のイベントが数多く開催されている。パソコン販売の不振で一度は縮小傾向にあった電気街も、パソコン上級者やアニメファン、外国人観光客などで賑わっている。

そのなかで、幅広く家電を取り揃えている店舗として定着しているのが、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaだ。電気街が専門店の集合体なら、マルチメディアAkibaは一店舗で多くのお客様のニーズに応える巨大な総合店舗。売り場面積約2万2500m2と全国屈指の大型店で、約520台が収容できる駐車場をもち、クルマでの来訪者が少ないという秋葉原の課題を解消した。秋葉原クロスフィールドと同時期の2005年9月にオープンして以来、衰退しかけていた街に人を呼び戻してきた。これまで訪れることが少なかった家族連れや高齢者も吸引。誰もが気軽に来店する街のランドマークとして、秋葉原の活性化に大きく寄与したといえる。

御代川忍店長は、「家電を購入するなら秋葉原、といわれた電気街は存在が大きい。当店のオープンでそれが復活し、街を訪れるお客様が増えたのではないか」と分析する。「もちろん、価格を比較されることもあるが、電気街の店舗とは、『競争している』というよりも『共存している』と表現したほうがしっくりくる」という。

●常に勉強を続けるスタッフ お客様を常に意識する

ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaが力を入れているのは、商品の陳列方法やデモンストレーション。コーナーを担当するスタッフそれぞれがアイデアを出しているので、コーナーの個性が際立っているのが売りだ。

品揃えは、「お客様が望むものを、できるだけ多く揃える」(御代川店長)ということが基本。パソコンや薄型テレビ、スマートフォンなどの最新機種は、ほぼ全メーカーの最新機種を体験できる。例えばデジタルカメラの体験コーナーでは、一眼レフの展示だけでなく、レンズも充実し、「あこがれのサンニッパ」(焦点距離300mm/F2.8の望遠レンズ)を体験できるコーナーも設けている。

白物家電のデモは、他店と一線を画している。例えば冷蔵庫では、人気機種に関しては、野菜やペットボトルなどがどれだけ入るかを実際に試せる。洗濯機でも、1回で洗濯できる量を洗濯物で具体的に表現。御代川店長は、「他店でやっていないことをやる──これを常に念頭に置いている」と説明する。

お客様からの評価が高い接客については、「常に課題をもって、さまざまなお客様に対応できるように勉強している。ゴールはない」という。ヨドバシカメラは、カメラ系量販店として、デジタルカメラを中心に商品知識が豊富なスタッフが揃っている。しかもマルチメディアAkibaでは、バックヤードにある複数の研修室で、ほとんど毎日、メーカーによる製品の機能説明会やスタッフ同士のロールプレイング、勉強会などを行っている。御代川店長は、「当店には接客マニュアルがない。メーカーの勉強会によって習得した商品知識をどうやってお客様に伝えるか、現場のスタッフが体験を共有することが重要」という。それが、マルチメディアAkibaの質の高い接客につながっているのだ。

スタッフは一つのコーナーを担当して、そのカテゴリのスペシャリストになる。さらに、ほかのスタッフよりも商品知識が秀でているスタッフは、「達人」と記したたすきをかける。これは、「商品説明を受けたいと思っているお客様が、スタッフを見つけられるようにするための方策」(御代川店長)でもある。

スタッフは、一つのカテゴリに習熟したら関連する商品に研修の範囲を広げ、この繰り返しによって、いずれは店舗で扱う商品すべてに精通した「コンシェルジェ」になる。そして、「ヨドバシカメラコンシェルジェサービス」の専任スタッフとして、ブライダルや新生活などのまとめ買いに対応する。

東京には、秋葉原以外にも、有楽町や新宿、池袋などに大型量販店が存在し、競争は地域をまたいで発生する。しかし御代川店長は、「競合店ではなく、お客様を意識することが重要」と。これが地域No.1のゆえんだ。

●店長が語る人気の理由――御代川忍店長

大阪のマルチメディア梅田で副店長、マルチメディア京都の立ち上げ参画など、さまざまな地域を経験。学生時代にはよく秋葉原に来ていたという御代川店長が捉える今の秋葉原は、「さまざまな要素が入った街」。以前はデジタル機器の上級者でなければ萎縮してしまう街だったが、「誰もが気軽に訪れる街になっている。これは、当店を含めて、秋葉原にある家電量販店や飲食店がつくり上げてきたもの」という。店長就任から約1年。売上高は、「家電市場が厳しいといわれているが、決して悪い状況ではない」という。新製品が発売されれば、多くのお客様が来店する。「消費が冷え込んでいるわけではない」と期待している。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2013年10月21日付 vol.1502より転載したものです。内容は取材時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる可能性があります。 >> 週刊BCNとは

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