<Product Story> 家電量販店の理美容コーナーで新社会人の女性向けアイテムとして人気のパナソニックの「ヘアードライヤー ナノケア」。その歴史を紐解くと、戦時中の1937年(昭和12年)までさかのぼる。当時の松下電器が「ナショナル」のブランドで国内初となる「ホームドライヤー」1号機を発売した。

重厚な箱のなかには、持ち手と風の吹き出し口が分かる製品が収められている。吹き出し口はヒーター(電熱器)が搭載してあり、「温風」「涼風」「ストップ」の3段階のモード切替ができるようになっている。パナソニックの彦根工場の50年史(2012年)に収められている資料には、1号機の新製品チラシのような資料が残されている。

製品を説明する文章には「洗髪後の毛髪乾燥器こそ淑女紳士方に不可欠のものと信じます」とある。当時から、髪を洗った後の処理は男女問わず生活する上での悩みの一つで、それを解決する製品が登場したというわけだ。重さは当時としては小型の750g。「他社製品は1000-1200g」と、業務用製品だろうか競合との重さを比較して軽さを強調している。

また、「電気消費量は僅か、涼風時20W、温風時300Wでありまして他社製品の約六割程度しか消費せず」とある。競合比較によるかなりアグレッシブな訴求内容もさることながら、当時から省エネを意識して開発していたことにも驚く。最新モデルで昨年発売された「ヘアードライヤー ナノケア EH-NA99」は、1号機「ホームドライヤー」の誕生から数えて、80年を経た製品となる。(BCN・細田 立圭志)

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