パントマイム・アーティストのが~まるちょばが、約3年ぶりの新作を発表。『が~まるちょば シネマティック・コメディー JAPAN TOUR 2023』として、6月3日(土)の東京を皮切りに、全国7か所で公演を行う。そこで現在稽古中のが~まるちょばに話を訊いた。

劇場という生の空間にこだわるが~まるちょばにとって、コロナ禍はまさに冬の時代だったと言える。「改めて感じたのは、結局はライブには勝てないということでした。僕はパントマイムをやっていますが、媒体や方法を変えてしまうと、やっぱりパントマイムとは違うものになってしまう。まぁその間に国際的な体育祭があり(笑)、初めて僕の舞台を観に来てくださるお客さんも増えて。その方々にまた足を運んでいただくためにも、しっかり結果を出さないといけないなと思っています」

今回はショートスケッチと言われる短編数本と、ストーリー性のある長編1本で構成。その長編に対する想いが、『シネマティック・コメディ』というタイトルに凝縮されている。「多くの人の頭の中に、“パントマイムとはこういうものだ”という既成概念があると思うんです。でもそうではない、映画のようにストーリーのあるものが観られますよ、と。内容に関しては、やはり予備知識なし、無垢のままで観に来ていただきたいので、当日までのお楽しみにさせてください。ただまったくしゃべらないのに、ストーリーが伝わって、観た人の心が動くというのは紛れもない事実。ぜひそれを体感してもらいたいですね」

パントマイムのイメージを打破すべく、さまざまな表現に挑んできたが~まるちょば。だが決してパントマイムを嫌っているわけではなく、むしろその逆だ。「僕がやっているのは間違いなくパントマイムです。そして誰より僕はパントマイムを愛していますし、信じていますし、絶対に面白いという自負があります。が、世の中的には“つまらない”と思われているのも事実で、そういった概念を僕ひとりで変えるのは正直無理だと思っていて。ただ知ってもらいたいのは、僕はが~まるちょばであり、が~まるちょばってこういうものなんだよということ。そして僕を観た人が『が~まるちょばって面白い』と言ってくれるのが目標であり、つまりそれイコールパントマイムなんだよっていうのが、あとからついてくればいいのかなと思っています」

彼にしか出来ないパントマイムの世界。ライブでしか味わえない極上のパフォーマンスを、ぜひ劇場で。

取材・文:野上瑠美子